パレスチナに関する国連安保理の忘れられた責任
(last modified Sun, 30 Oct 2022 11:40:21 GMT )
10月 30, 2022 20:40 Asia/Tokyo
  • 国連安保理
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国連安全保障理事会が、パレスチナの最新情勢に関する会議を午前と午後の2回にわたり開催しました。

この会合は明確な結論にこそ至らなかったものの、シオニスト政権イスラエルによる国際的な原則や国際法、国連決議への違反が完全に示されているとする立場を各国が表明する機会となりました。

イールヴァーニー・イラン国連大使は、「2022年はパレスチナ人にとって、2006年以来最も流血の多い年となっている」と指摘し、安保理がパレスチナ人を支援する必要性を強調しました

そして、「人権侵害、パレスチナ人の財産の破壊、彼らへの自宅退去強制は、イスラエルがパレスチナの人々に対してはたらいた犯罪の1つである。74年間続いているこれらの犯罪は、すべての国際法と国際規範に違反するもので、パレスチナ市民は安保理の支援を必要としている」と述べています。

国連人権高等弁務官の発表によりますと、今年に入ってから現在までに、イスラエルはすでにヨルダン川西岸地区だけで、26人の子供と5人の女性を含む118人のパレスチナ人を殉教に至らしめています

アラブ連盟代表のマジド・アブドゥルファタフ・アブドゥルアジズ氏も、「国連の相次ぐ報告にそのつど耳を傾ければ、イスラエルが2016年の安保理決議2334に反して入植地建設政策を実行し続け、防衛手段を持たないパレスチナ市民の殺害と弾圧を止めていないことが強調されているが、その一方で、安保理はイスラエルに対し国連決議を守らせるための処罰を何も科してないのがわかる。これは論理性に欠けるもので、さらに国際的な正当性ある法規にも合致していない」と語りました。

また、イスラエルの誠実さのない二面性を指摘し、「イスラエルは、2国家形成・共存を規定した1947 年の安保理決議181に反する形でパレスチナの全領土を占領しているが、そのような状況にあって、日和見的にウクライナでのロシアの行動を占領だとして非難することは、論理性に欠ける」と述べています。

イスラエルは、聖地ベイトルモガッダス・エルサレムを首都とした独立国パレスチナの樹立に向けた直接交渉のテーブルにつくことを拒否しているだけでなく、この聖地に対する支配権に固執し、この聖地や占領する他のパレスチナ領土で殺害や犯罪に手を染めています。しかしこうした行動は、長年にわたる歴然とした安保理決議違反であるにもかかわらず、いささかも訴追されていません。

パレスチナは、パレスチナ人の最低限の権利を保護するために国連で採択された安保理および総会の数十の決議、または占領下の国の権利擁護や占領者を罰し抑止するために定められたその他の国際原​​則や法律の墓場と見なされるべきです。

これらの決議は、パレスチナのヨルダン川西岸地区とガザ地区、およびシリアのゴラン占領地域を含む 1967年に占領した土地からのイスラエルの無条件撤退、そしてこれらの地域での地理的・人口構造の不変を直接的および間接的に強調しています。そして、これが現在までに実施され、もしくは国連憲章に規定された自衛権がパレスチナ人に正式に認められており、暴力やテロといったほかの全く逆の概念に置き換えられていなかったなら、パレスチナ危機はこれほど長期化せず、シオニストがこれほどまでにパレスチナを悪用する機会も生じなかったはずです。

実際、パレスチナ危機の長期化と、入植地建設の続行というシオニストの地を這って進む占領の継続を引き起こしたのは、これらの矛盾した差別的な対応に他なりません。この観点から、パレスチナ被占領地での占領者による弾圧やシオニストの犯罪の大部分の責任は、これらの差別の下地をもたらした人々に向けられます。その筆頭に挙げられるのは、アメリカを初めとした西側諸国です。

しかし同時に、国連の無責任ぶりも決して無視できません。国連の記録には、故コフィ・アナン元国連事務総長のように、この組織の業績をその定義された目標と責任に近づけようとした人物もいました。しかし、残念なことに、ここ数十年で、国連を率いる責任を負ってきた人々は西側諸国、特にアメリカの政策に近づけようとしてきました。まさにこのことが、イスラエルの日和見主義を生み出す隙間を作ってしまったのです。

したがって、国連の責任と目標として定義され実行が必要とされているのはその構造改革となりますが、これは残念ながら現在までのところ実現されていません。

確かに、パレスチナに関連する事項により、パレスチナ自治政府は国連とその傘下の機関に期待を寄せ、定期的に行動を起こし続けています。

しかし、最近ヨルダン川西岸ジェニンとナブルスで見られ、ヨルダン川西岸の他の地域でも広がっているように、パレスチナの人々は、武装抵抗こそが自分自身を救い、西側の再占領におけるイスラエルの台頭に立ち向かう方法だと考え始めています。そしてこの点で、エリン・アル・アスードやビシェ・シランのような新興組織を支持しており、もはや国連やアラブ連盟を含む外国の支援には期待していないのです。

 


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