第2のシンワル氏に対するイスラエル司令官らの恐怖:「ハマスの再建速度は信じ難い」
(last modified Tue, 14 Jan 2025 06:50:30 GMT )
1月 14, 2025 15:50 Asia/Tokyo
  • 米ウォールストリートジャーナル:「ハマスには別計画あり」
    米ウォールストリートジャーナル:「ハマスには別計画あり」

米紙ウォールストリート・ジャーナルは、パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスについて「ハマスは元政治局長だったヤヒヤ・シンワル氏の殺害後もしっかり存続しており、新たな人材を勧誘し、イスラエルを巧みに消耗戦に引きずり込んだ」と報じました。

【ParsToday西アジア】昨年10月18日、ハマスは、ガザ地区南部ラファ市のテル・スルタン地区でイスラエル軍との衝突により、この組織の政治局長だったヤヒヤ・シンワル氏が殉教したと発表しました。シンワル氏は、パレスチナの市民と聖域に対するイスラエルの侵略への報復として2023年10月7日に開始された「アクサーの嵐」作戦の指揮官として知られています。この作戦は、ガザ地区ガラフのシオニスト入植地攻撃で始まり、その後イスラエルがガザに対して壊滅的な戦争を仕掛け、過去465日間で数万人のパレスチナ人殉教者、負傷者を出しています。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは、故シンワル氏の弟でハマスの幹部であるムハンマド・シンワル氏の勇敢さについて、「ハマスは現在、もう一人のシンワル氏をトップに据え、この組織を再び最高潮の状態に戻そうとしている」と報じました。

また、ハマスの軍事力と権力について取り上げ、「この組織は今なお、有能な新世代で構成された軍隊を結成しており、ガザにあるイスラエルの不発弾から即席爆発装置を製造することができる。ハマスはこれらの道具を使ってイスラエルに被害を与えている。先週、イスラエル軍はガザ北部ベイトハーヌーンで兵士10人が死亡したと発表しており、ハマスもここ数週間でイスラエルに向けてロケット弾約20発を発射している」としました。

続けて、「ムハンマド・シンワル氏の指導下で進む新たな人材登用は、イスラエルにとって新たな課題を生み出している。そのためイスラエル軍は、以前進軍していた地域から何カ月にもわたり撤退を余儀なくされている。この一連の出来事は、イスラエル軍が疲弊し、その一方でイスラエル人捕虜の命も危険にさらされていることを物語っている」としました。

イスラエル退役軍人の1人、アミール・アヴィヴィ氏は「いま我々の置かれている状況は、ハマスの立て直しと再生のスピードがイスラエル軍の進軍のスピードを上回っており、ムハンマド・シンワル氏がすべてを管理しているというものだ」と自白しました。

 

ムハンマド・シンワル氏:イスラエルにとって未知の司令官

ウォール・ストリート・ジャーナルはさらに、ムハンマド・シンワル氏の役割について、「彼はハマスの立て直し・復活への取り組みの中心にいる。昨年10月にイスラエル兵が彼の兄を殺害したとき、ドーハに拠点を置くハマス幹部は、新しい指導者を任命するのではなく、集団指導評議会の設置を決定した。しかし、イスラエルとの停戦交渉におけるアラブの仲介者によれば、ガザのハマス幹部はこれを受け入れず、現在はより若手のムハンマド氏の下で自主的に活動していると言われている」としました。

そして、「ムハンマド・シンワル氏は50歳前後とみられ、10歳以上年上の兄ヤヒヤ氏の親しい仲間と長い間考えられていた。ムハンマド氏は兄のヤヒヤ氏同様、若い頃にハマスに加入し、ハマス軍事部門・カッサム旅団最高司令官ムハンマド・デイフ氏の側近の1人である。また、イスラエルの刑務所で20年以上過ごしたヤヒヤ氏とは異なり、ムハンマド氏はイスラエルの刑務所で過ごした時間があまりなく、そのためイスラエル側での知名度は低い。彼は主に舞台裏で活動しており、アラブ諸国の当局者からは『影』というあだ名を付けられている」としました。

イスラエル当局幹部の1人は、「我々はムハンマド氏を見つけるために懸命に努力している」と語っています。また、政治アナリストらの話によれば、ムハンマド氏は「ガザにおけるハマスの最高司令官」として知られています。

 

ハマスは非常に強い立場にある

ウォール・ストリート・ジャーナルはハマス部隊の正確な人数について、「イスラエルやアラブ諸国の当局者によると、ハマスは依然としてガザ地区の大半の地域を掌握しているものの、この組織が失った人員数および、最近勧誘した人数については明らかでない」としています。

また、アラブ諸国の当局者の話として「ムハンマド・シンワル氏は兄ヤヒヤ氏よりも恒久停戦に固執している」とし、そのことがイスラエルとの停戦合意の可否を不透明なものにしていると記しました。

ここ数週間、特にエジプトとカタールをはじめとする仲介国は米国政府と連携し、ハマスやイスラエル当局者との会談や接触を通じてガザでの停戦について協議するための努力を強化してきました。

ムハンマド・シンワル氏は昨年、仲介国に対するメッセージの中で「ハマスは条件を提示する上で非常に強い立場にある。この合意が包括的なものでなく、ガザ市民の苦痛に終止符を打てるものでなければ、ハマスは戦い続けるだろう」とコメントしています。

 


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