米軍がイラク駐留継続にこだわる理由
(last modified Tue, 03 Jun 2025 09:37:41 GMT )
6月 03, 2025 18:37 Asia/Tokyo
  • 米軍がイラク駐留継続にこだわる理由
    米軍がイラク駐留継続にこだわる理由

イラク議会は2020年1月に国内からの米軍撤退を求める決議を可決しましたが、それから5年経った今も米軍は駐留を続けています。背景には、この決議の履行を渋るイラク政府当局の姿勢があります。

【ParsToday西アジア】イラクのイスラム抵抗運動「アルヌジュバ」は「今後2週間以内にイラクとアメリカの間の軍事技術委員会で、米軍を含む外国軍の駐留あるいは撤退に関する新たな枠組みを検討するための交渉が始まる可能性がある」と発表しました。

アメリカはイラクでの戦闘任務を終了したと宣言したにもかかわらず、依然としてアル・アサド基地やアル・ハリール基地などの重要な拠点を保持し続けています。この執着はいわゆる「安全保障上の脅威」に対抗するためではなく、イラン、シリア、トルコに対する戦略的備えを維持するためのものです。

米軍の駐留継続は、イラクの安全保障と政治の独立を損なうだけでなく、国内の緊張と抵抗勢力を生み出し、国境の不安定さを助長しています。これに対してアメリカは、自国の撤退が経済的または外交的な影響をもたらすと脅かしています。

イラクの抵抗勢力は、米軍駐留がイラクの主権に反しており、議会の決議に違反していると主張しています。イラクのスーダーニー首相は、実質的に米軍撤退を先延ばしにしており、これに対して抵抗勢力は、米軍だけではなく、自国政府に対しても圧力を強める可能性があります。

こうしたイラク政府の姿勢は、経済的な考慮、アメリカへの依存、そして米政府からの圧力に対する恐れに起因しています。イラク経済は、米連邦準備制度(FRB)からのドル資金移転許可に大きく依存しているため、この経済的依存はアメリカにとってイラクの国内政治や安全保障に対する構造的な圧力手段となっています。イラク政府の決定権は、この依存関係に強く左右されることとなっています。

アメリカは、イラク軍の装備、特に防空システムやドローン技術分野において、その成長を度々妨害してきました。これにより、アメリカはイラクが独立した防衛能力を持ち、抑止力を発揮することを望んでいないことが明らかになりました。アメリカが求めるのは、依存的でコントロール可能で、自国の利益に脅威を与えない軍事力です。

米軍のイラク駐留は、単に安全保障を提供するものではなく、イラクの自主防衛と国力再建の妨げとなっており、そのためイラクの民兵勢力「ハシャド・アルシャビ」や各抵抗勢力は、米軍撤退を求めて力で対抗する姿勢をとっています。

 


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