アラブ人専門家「イスラエルによるアラブ代表団の訪問禁止は侮辱的な妥協」
(last modified Tue, 03 Jun 2025 10:17:01 GMT )
6月 03, 2025 19:17 Asia/Tokyo
  • アブドルバーリ・アトワン氏
    アブドルバーリ・アトワン氏

在英アラブ紙「ライ・アルヨウム」のアブドルバーリ・アトワン編集長は、イスラエルがアラブ代表団のヨルダン川西岸ラマラ訪問に反対したことに言及し、アラブ圏諸国の指導者らの妥協を強く批判しました。

【ParsToday西アジア】アトワン氏は2日、イスラエルがアラブ代表団のラマラ訪問を拒否したことについて、「イスラエル占領軍がアラブ諸国の外相4人の入国を拒否したことは我々にとって驚くに値しなかった。逆に、これらの外相と彼らの妥協的な各政権がこの侮辱に対して示した恥ずべき反応だった」と記しました。

また、「イスラエルのネタニヤフ首相が望んでいたのは、アラブ諸国の外相や各国政府、そしてアラブ連盟の事務総長に礼節を尽くすこと、そして彼らに対し関係正常化が自らにとって重要ではなく、独立国家パレスチナなど眼中になく、そして自分こそが地域の支配者かつその地域諸国の地図作成者であり、自らが思惑とする者を侮辱すると通達することだった」としました。

さらに「ガザ地区でジェノサイド、殺戮、飢餓が激化し、子どもたちとその家族がテントで焼死しているこの時期に、代表団がラマラを訪問したことは、降伏の旗を掲げ、関係正常化に向けて動き出し、イスラエルの同意を取り付けることに等しい。パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は、イスラエルの許可なしには自らの事務所から出られない。これは、シオニスト政権がアッバス議長のヨルダン訪問を阻止したことからも明らかである」としました。

そして、「妥協組の3カ国、即ちエジプト、バーレーン、ヨルダンは、イスラエル占領地テルアビブにある自国大使館から警備員の撤収すらせず、トランプ米大統領に不満をぶちまけ、アンマンでくだらない会合を開いただけだ。トランプ氏はアラブ人とイスラム教徒を軽蔑し、ネタニヤフ首相の要求を全て受け入れる人物であり、アラブの子孫を全く尊重していない。彼は2時間で5兆ドルを搾取したと自慢し、感謝の言葉を口にしない上、その金額を彼らへの支持および、彼らの存続・支配の続行に対する見返りとみなしている」と痛烈に批判しました。

加えて、「かつては、占領者側がアラブ諸国の政府高官らと協議し、握手に向けた条件を整えていた。しかし今、状況は一変し、アラブ諸国の指導者らが関係正常化を求めて占領者のもとに走り、イスラエルも彼らを侮辱している。唯一の例外はイエメンとその国民である」としました。

イスラエルが、アッバス議長との会談を目的としたアラブ諸国の閣僚らのヨルダン川西岸地区入りを阻止したことを受け、このアラブ代表団は当初予定されていたラマラへの訪問を取りやめました。

サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン外相、エジプトのバドル・アブデル・アティ外相、アラブ連盟のアハメド・アブ・アルゲイト事務総長、バーレーンのアブドゥル・ラティーフ・ビン・ラシド・アル・ザヤニ外相、ヨルダンのアイマン・アル・サファディ外相からなる代表団は先月31日の共同声明で、「イスラエルが、我々のラマラ訪問とパレスチナ自治政府首脳および高官との会談を阻止を決定したことは、占領者としての政権の義務違反であるだけでなく、同政権の内閣の傲慢さ、国際法の無視、そして違法な行動と政策の継続を物語っている」と強調しました。

イスラエルは、パレスチナ自治政府のフセイン・アル・シェイフ副議長に対し、アラブ諸国の外相代表団のラマラ入り、及びアッバス議長との会談を認めない旨を通告していました。

 


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