アラブ世界への教訓となった国・エジプトをどう支援すべきか?
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エジプトは、イスラエルという敵との妥協が国の安全保障にも進歩にもつながらないという事実を如実に物語る例となっています。
(last modified 2025-08-02T03:38:33+00:00 )
7月 23, 2025 23:45 Asia/Tokyo
  • エジプトのシシ大統領(右)とネタニヤフ首相(左):2017年9月19日、米ニューヨークにて
    エジプトのシシ大統領(右)とネタニヤフ首相(左):2017年9月19日、米ニューヨークにて

エジプトは、イスラエルという敵との妥協が国の安全保障にも進歩にもつながらないという事実を如実に物語る例となっています。

【ParsToday西アジア】エジプトのアナリスト、シャディ・アル=ガザリ氏は「イスラエルはイランと対峙した後、次にエジプトを攻撃対象にする可能性がある」と警告しました。一方、イスラエル当局による「シナイ半島制圧」発言により、エジプトは和平条約を結んでいるイスラエルからの直接的な脅威にさらされています。

イスラエルによるガザ侵略の激化および、パレスチナ人をシナイ半島へ強制移住させる計画を受け、エジプトは前例のない警戒態勢に入りました。しかし、その一方でエジプトは20世紀におけるパレスチナ、イスラム教徒、アラブ民族への重大な裏切りと対イスラエル支援に加え、ガザ南部ラファ検問所の閉鎖やトンネルの破壊といった手段を用いて、パレスチナ抵抗勢力への攻撃と、現在深刻な食糧不足に陥っているガザ地区の封鎖に積極的に加担しています。

こうしたエジプトの姿勢については、以下のようないくつかの点が指摘できます。

 

犯罪政権との協力:地域におけるエジプトの地位の失墜

エジプトは、不名誉なキャンプ・デービッド合意(エジプトによるイスラエル承認・関係樹立を見返りにイスラエルがシナイ半島を返還し、ガザ・ヨルダン川西岸のパレスチナ人の自治について協議することを定めたもの)に署名することで、シオニスト犯罪政権との関係正常化に踏み切りました。しかし今日、エジプトはアラブ世界の指導者たる地位を失ったのみならず、イスラエル占領地の安全な境界の番人と化しています。

 

経済への打撃:敵との協力の代償

経済発展が約束されたこととは裏腹に、エジプトは今日、猛烈なインフレ、巨額の債務、そしてアメリカの援助に対する依存に苦しんでいます。イスラエルとの協力はエジプトに繁栄をもたらさなかったばかりか、同国とアメリカとイスラエルの罠に陥れた格好となっているのです。イスラエルがシナイ半島に目をつけた今、遂にエジプトは敵を信頼することの危険性に気づきつつあります。

 

安全保障上の脅威:イスラエルはもはや同盟者ではなく脅威

イスラエル当局は、シナイ半島への介入計画について公言しています。しかし、この計画はエジプトの国家主権を侵害するだけでなく、同国内の安定を脅かすものでもあります。今やエジプトは、かつてイスラエルを満足させるために閉鎖したシナイ半島の国境を、莫大な軍事費をかけて強化せざるを得なくなっているのです。

 

怒りに塗れた世論;エジプト国民はもはや騙されないのか?

長年政府のプロパガンダに翻弄されてきたエジプト国民も、今日ではイスラエルとの協力が平和も安全ももたらさなかったことをはっきりと認識しています。政府の融和政策に対する国民の怒りの波は高まっており、今回はエジプト政府は抵抗勢力だけを責めることはできないのです。

 

他のアラブ諸国にとっての教訓

エジプトは、敵との妥協が安全保障にも進歩にもつながらない、という生きた実例となっています。今やエジプトは、かつてパレスチナ人の血を踏みにじって意気揚々と占領地入りしたイスラエル人を、まさに恐れているはずです。

 

エジプトの抵抗戦線復帰支援におけるイランとイスラム世界の役割

このような危機的な状況において、イランをはじめとするイスラム諸国は、積極的な外交活動と包括的な支援を通じて、エジプトの政府と国民がイスラエルと西側諸国への依存の呪縛から解放されるよう支援する必要があります。イスラム世界は経済支援の提供、安全保障協力の強化、そして地域の結束の構築を通じて、エジプトに新たな方向路線を描くことができます。その路線とは、シオニストという敵との妥協ではなく、尊厳や独立、そしてイスラム共同体の理想への回帰に基づく道であり、これこそは、エジプトが現在の行き詰まりから脱出し、アラブ世界の鼓動する心臓としての歴史的役割を復活させる唯一の道なのです。

 


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