インドはなぜイスラエルとの協力を継続するのか?
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インドとイスラエルは近年、互いに広範な関係を築いています。
(last modified 2025-11-06T09:24:07+00:00 )
11月 06, 2025 18:06 Asia/Tokyo
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    インドはなぜイスラエルとの協力を継続するのか?

インドとイスラエルは近年、互いに広範な関係を築いています。

【ParsToday西アジア】インドは近年、従来続けてきた隣国パキスタンとの平和的共存政策を見直し、アメリカやイスラエルとの関係を密接にしてきました。インドとイスラエルは首脳会談を筆頭に、数々の会談を重ね、軍事・経済に関する広範な合意を交わしています。

今月3日、イスラエルのサアル外相は、インドのジャイシャンカル外相およびドヴァール国家安全保障顧問と会談しました。この会談は地域の安全保障協力およびガザ復興計画に焦点を当て、両者はテロリズムに対する「ゼロトレランス」の政策を強調しました。サアル氏はインドを「世界の超大国」と称し、「イスラエルは共通の民主的価値観と相互の安全保障目的に基づいた長期的・戦略的パートナーシップを求めている」などと述べました。

インドはイスラエルからの最大の兵器購入国であり、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の報告によると、インドはイスラエルから販売された武器の43%を購入しています。

インドのパレスチナ問題に対する政策は過去から現在に至るまで矛盾に満ちており、パレスチナへの支持からイスラエルへの支持に舵を切ろうとしています。この支援は政治的および経済的分野にとどまらず、軍事的な側面も含まれています。なぜ、インドはここにきてイスラエルに接近しているのでしょうか?

インドは1947年、国連総会でパレスチナ分割に反対し、1974年にはパレスチナ解放機構(PLO)をパレスチナ人の唯一の合法的代表として認め、1988年にはパレスチナ国家を承認した最初の国の一つとなりました。一方で、インドは1950年にイスラエルを承認したものの、1992年までは正式に外交関係を樹立していませんでした。

しかし、現在のモディ首相は2023年10月7日にハマスによる「アクサーの嵐」作戦が起こると、即座にこれを非難し、イスラエルを支持する立場を表明しました。

インドはイスラエルを無条件で支持する姿勢を取り、国連でガザ地区における人道的停戦を求める決議にも賛成票を投じることを拒否してきました。

この姿勢は、モディ首相の支持基盤であるヒンドゥー至上主義勢力にも影響を与え、インド国内のSNSではイスラエルのプロパガンダを支持するフェイク情報があふれるようになりました。このことは、インド国内のムスリム少数派をターゲットにした反イスラム的な動きとも連動しています。また、インド政府はイスラエルを支持するデモは許可する一方で、パレスチナ支持の抗議活動に対しては弾圧を行っています。

インドのパレスチナ問題に対する大きな政策転換の理由を理解するには、主に2つの要因が指摘できます。

 

ヒンドゥー至上主義の拡大

スウェーデン・ウプサラ大学の平和戦争研究所の所長であるアショク・スウェン氏は、モディ首相の就任以降、インドではヒンドゥー至上主義が広がっていると解説します。モディ政権がヒンドゥー至上主義的であることから、インド国内のメディアも大きくその影響を受け、パレスチナ問題に対して敵対的な言説を採用する傾向が強まっていると指摘しています。

 

反イスラム感情

スウェン氏は、ガザで戦闘が続く限り、インドメディアは政権の意向を汲んでハマスを非難し続けるだろうとみています。こうしたことが、インド社会で反イスラム感情を増加させる原因になるとしています。

スウェン氏によると、シオニズムとヒンドゥー至上主義の間に多くの共通点があり、両者のイデオロギーは膨張主義と他者排斥の目的を持っているということです。つまり、両者ともイスラムあるいはムスリムに自らの土地を侵略されていると考えており、それを取り戻すという思想です。

仏紙ル・モンドは、インドの一部のヒンドゥー過激派がイスラエル軍に義勇兵として志願していると報じました。駐インド・イスラエル大使のナヴォール・ギロン氏も、インドのヒンドゥー主義者がイスラエルに従軍する用意があると豪語しています。このように、宗教、民族、そして「共通の敵」が経済やポピュリズムに加え、インドのパレスチナ問題に対する政策変更の要因となっていると指摘されています。

 


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