視点、世紀の取引ー歴史のゴミ箱に捨てられるべき陰謀
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アメリカのトランプ大統領が先週、パレスチナ・イスラエル間の長年に渡る対立の収束を主張し、その解決案と銘打った一方的な計画・「世紀の取引」を発表しました。しかし、これは多くの有識者から見て過去の計画と同様、明白な根拠から失敗に終わるだろうとされています。
(last modified 2025-10-27T05:05:03+00:00 )
2月 02, 2020 17:56 Asia/Tokyo
  • トランプ大統領とネタニヤフ首相
    トランプ大統領とネタニヤフ首相

アメリカのトランプ大統領が先週、パレスチナ・イスラエル間の長年に渡る対立の収束を主張し、その解決案と銘打った一方的な計画・「世紀の取引」を発表しました。しかし、これは多くの有識者から見て過去の計画と同様、明白な根拠から失敗に終わるだろうとされています。

イランイスラム革命防衛隊は1日土曜、声明を発表し、この一方的な計画を非難するとともに、「この計画は、失敗作として歴史のゴミ箱に捨てられる運命以外にない」と表明しました。

また、パレスチナを血肉の一部、そして聖地ベイトルモガッダス・エルサレムをイスラム共同体の譲れない一線だとし、イスラム教徒が「世紀の取引」を黙認することなく、これに嫌悪感を示すべく一丸となる必要性を強調しています。

イラン国会・パレスチナインティファーダ(イスラエルの占領行為に対するパレスチナ人の抗議運動)支持国際会議事務局も、声明を発表し、「疑うまでもなく、トランプ大統領による背信的なこの計画は、米のこれまでの陰謀と同様イスラム共同体やパレスチナ国民の戦いと抵抗により、歴史のゴミ箱に掃き捨てられることとなろう」としました。

「世紀の取引」は、政治、経済的な側面のほか歴史的な側面をも有していますが、もちろんパレスチナ国民の領土やアイデンティティ、歴史的な権利を忘却に追いやるために考案されたものである事は言うまでもありません。

セラーフ・アブドルアーティ氏

パレスチナ・ガザ地区にある政治研究所の所長であるセラーフ・アブドルアーティ氏は、世紀の取引に関して次のように述べています。

「世紀の取引の宣伝における真の行動は、現在のパレスチナの一部であるヨルダン川西岸地域を暗黙のうちにシオニスト政権イスラエル領に併合すること、ガザ地区の封鎖し、これをパレスチナのそのほかの領土から分離させること、そしてパレスチナの自治政府やその各集団にこの強行的な案の受諾を迫ることである」

しかし、過去の経験や証拠などからは、パレスチナ人の真の要求や意志に注目していない計画がいずれも、何の位置づけも持たないことが証明されています。この計画の失敗の根拠を説明する上で、以下の2つの点は特に注目に値します。

第1の点は、この計画が、問題の主要な当事者であるパレスチナ国民の権利をやり過ごしたものであることです。

この計画の作成者らは、大きな過ちにより計算違いを犯しています。つまり、彼らは陰謀に対抗し、それらの陰謀を失敗に追い込むという、パレスチナ国民の抵抗運動を忘れてしまっているのです。

第2の点は、この偏向的な計画の内容が国連決議に反しているともに、パレスチナ問題に関する国際法規を無視している点です。

「祖国帰還の権利」、およびパレスチナ領土の真の居住者の要求・票に照らしての「将来の決定権」は、パレスチナ国民の主要な権利の1つです。このため、パレスチナの本来的、そして真の領有者が受諾しないような案は、その他のいずれの相手側もこれを合法化することはできません。

地域の歴史は、こうした問題における否定できない事実を物語っています。1970年~72年にかけて当時のエジプトのサダト大統領のイニシアチブによる「和平案」、そして「マドリード合意」、「オスロ合意」、「キャンプデービッド会議」「和平ロードマップ」、「シャルム・エル・シェイク会議」、「アナポリス会議」といったいわゆるパレスチナ和平要求案はいずれも失敗しているのが現実です。

これらの企画はいずれも、パレスチナ人の権利を無視したことにより失敗しています。この度の「世紀の取引」もその例に漏れず、失敗に終わるでしょう。それは、パレスチナ人の権利が正式に認められていないことが理由であり、この計画がパレスチナ和平プロセスに寄与するものでないことははっきりしています。この一方的な案に隠れた内容において、シオニスト政権イスラエルの最大の支持国であるアメリカはイスラエルの安全と強化を狙っています。

ハーメネイー師

この事実に関して、イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師がすでに一連の表明を行っています。

ハーメネイー師は、メッカ巡礼ハッジの専門家らとの会談における表明の中で、敵がパレスチナ問題の中でも特にイスラム教徒との対立に焦点を当てていることを指摘し、次のように述べています。

「今や、アメリカはパレスチナに関する自らの悪魔的な政策を「世紀の取引」などと銘打っている。だが、彼らは神の恩寵により、この計画が決して実現する事はなく、アメリカの政治家の望みに反して、パレスチナ問題が人々の記憶から消去されることはなく、聖地ベイトルモガッダス・エルサレムがパレスチナの首都としてそのまま残るであろうことを、肝に銘じておくべきである」

IRIBアミーンザーデ解説員

 

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