米国人アナリストがトランプ氏の政策を批判;「我々は自らを追い詰めている」
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アメリカの著名な国際政治学者で、同国シカゴ大学で教鞭をとるジョン・ミアシャイマー氏がドナルド・トランプ現米大統領の政策を批判し、「アメリカは内部崩壊の道を歩んでいる」と警告しました。
(last modified 2025-12-27T10:29:23+00:00 )
12月 27, 2025 13:43 Asia/Tokyo
  • アメリカの国際政治学者、ジョン・ミアシャイマー氏
    アメリカの国際政治学者、ジョン・ミアシャイマー氏

アメリカの著名な国際政治学者で、同国シカゴ大学で教鞭をとるジョン・ミアシャイマー氏がドナルド・トランプ現米大統領の政策を批判し、「アメリカは内部崩壊の道を歩んでいる」と警告しました。

【ParsToday国際】ミアシャイマー氏は、新たな声明の中でトランプ米大統領の内政・外交政策を批判し、「アメリカは国際体制の基盤を下手に見て嘲笑し、内部崩壊しつつある」と述べました。

また、デンマークやイギリスといった主要同盟国との距離が開いていることを、アメリカ国内の内弁慶ぶりや外交面での無能さの表れと見なし、これにより西側諸国の覇権が危機に陥っているとの見解を示しています。さらに「アメリカの内部崩壊は外国のライバルからの圧力によるものではなく、『国内での内弁慶ぶりと外交面での無力さが雑然と混ざり合った状態』によるものだ」と語りました。

2つの象徴的危機:グリーンランドと中米カリブ海 

ミアシャイマー氏はこうした傾向を明確に示す兆候として、特に最近の2つの出来事を挙げています。1つ目は、トランプ氏に忠実なルイジアナ州知事ジェフ・ランドリー氏がデンマーク自治領グリーンランド購入交渉の特使に任命されたことです。トランプ氏のこの行動は長年の同盟国デンマークの怒りを買った上、EU欧州連合からも防御的な反応を招いています。ミアシャイマー氏の見解ではこれは決して「単なる政治的ジョーク」ではなく、同氏はこれを「最も粗野な攻撃的リアリズムの表れ」だとしています。同氏はさらに「アメリカはもはや同盟国をパートナーではなく、必要に応じて領土や資源を奪われる可能性のある『属国』と見なす、という明確なメッセージをすべての同盟国に発信しているに等しい」と見ており、こうした態度は「主権」という概念を愚弄し、NATO北大西洋条約機構のような軍事組織の根底にある信頼を破壊しかねない、と考えています。

第2に、英国がカリブ海地域における対米諜報協力を打ち切る決定を下したことです。これは、米国が麻薬運搬・移送が疑われる船舶に対し、国際法の枠組み外で一方的に軍事作戦を展開し、数十人の死者を出したことが理由です。

米国の行動がもたらす結果:米国の孤立とライバルの強まり

ミアシャイマー氏の見解では、この傾向が米国の戦略的立場に及ぼす影響は悲惨だとされています。米国は、中国やロシアのような競争相手への対抗目的で西側諸国を結集させるのではなく、西側同盟国を積極的に疎外する形となっているのです。欧州は侮辱されたことにより戦略的自立へと走り、中国との連携をさらに強化する可能性があります。これは米国の輸出市場を制限するだけでなく、国際通貨としてのドルの地位を著しく脅かし、軍事力と影響力を維持するための米国政府の財政能力を弱めかねない要素です。

ミアシャイマー氏は「『アメリカ・ファースト』として推進されている主義方針は、実際には『アメリカ・アローン(孤立化)』へとつながっている。同盟国を失ったアメリカは予測不可能で横暴な存在となり、複雑で敵対的な世界におけるアメリカの脆弱性は劇的に高まっている」とコメントしました。ミアシャイマー氏はまた、「こうした道筋は、法規範が力によって書き換えられ、誤算による紛争や戦争のリスクが高まり、従来までの国際秩序を深刻な不安定化の時代へと移行する世界へと導いているに等しい」と警告しています。同氏から見て、アメリカはいわば消防士ではなく「火炎放射器を持って暴走中」なのです。そして最後に、ミアシャイマー氏は「我々は自分自身を追い詰めている」と警告しています。

 

 

 


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