欧州ガス相場が再び高騰の可能性、ロシアの供給再開延期で
欧州ガス相場で、ロシアの供給再開延期により価格の再高騰が予想されています。
ウクライナ戦争以降、欧州各国はロシアにエネルギー関連の制裁を行使しています。現在、これらの制裁は欧州自身の首を絞め、前例のないエネルギー危機が生じています。
ロイター通信が英ロンドンから報じたところによりますと、ロシア国営ガスプロムは、主要ガスタービンの油漏れ発見を理由として海底パイプライン「ノルドストリーム1」を通じた欧州へのガス供給再開を無期限で延期しました。
これを受け、アナリストの間では、5日月曜の欧州市場でガス価格が再び急騰すると予想されています。
同パイプラインは保守点検のために今月3日までの予定で停止していましたが、20%の稼働率で再開するとの期待がかかっていました。
このため、欧州ガス価格の指標となるオランダTTFは去る8月26日の過去最高値から約40%下げており、2日の終値は1メガワット時当たり200ユーロ強となっていました。
調査会社のエナジー・アスペクツのアナリストは、市場は供給再開を既に織り込んでいたため、週明け5日はTTFがかなり高く寄り付く、との予想を示しています。
調査会社オーロラ・エナジー・リサーチのコモディティー担当シニア・アソシエート、ジェイコブ・マンデル氏は、「欧州が他の供給源からガスを調達できるかどうかで、ロシアによる供給再開延期の影響が決まる」と予想しています。
また、その上で「供給確保は難しく、ロシア産ガスを他に置き換えることが、ますます困難になっている」としました。
さらに、ドイツのエネルギー規制当局である連邦ネットワーク庁のミュラー長官は先月、「わが国のガス貯蔵率が100%であっても、ロシア産ガスの供給が完全に停止すれば2カ月半で貯蔵が底を突く」と述べています。
EUは、去る2月24日に発生したウクライナ戦争を受け、ロシアに一連の制裁を行使しましたが、これは価格高騰などのエネルギー危機を招き、ヨーロッパの自縄自縛という結果を招いた形となっています。