8月 02, 2023 21:09 Asia/Tokyo
  • 米の一部地域でハンセン病が風土病化
    米の一部地域でハンセン病が風土病化

アメリカの政治専門紙ザ・ヒルが、同国内の一部地域でハンセン病が蔓延していると報じました。

ザ・ヒルによりますと、米国南東部、特にフロリダ州でハンセン病患者が増加しており、CDC米疾病管理予防センターの科学者らの話では、この病気はこの地域の風土病である可能性があるということです。

米CNNによりますと、造園業を営む54歳の男性が、痛みを伴う発疹の症状でフロリダ州オーランドの皮膚科医を受診しました。発疹は手足から顔まで広がっていたましが、過去に診察した別の医師は原因を突き止められなかったということです。

CDCによれば、ハンセン病は握手したり感染者の隣に座ったりといった程度の接触では感染せず、治療を受けていない感染者との長期的な濃厚接触によって感染します。また、約95%の人は遺伝的に備わる免疫機能が働いて感染しにくいとされています。

しかし感染経路が分からない症例もあり、この男性の場合、フロリダ州から出たことも、アルマジロとの接触も、感染率が高い国から来た人との濃厚接触もありませんでしたが、屋外で長時間過ごすことが多かったということです。

米国内で確認された患者の大半はこれまで、感染率が高い国への渡航や、アルマジロとの接触を通じて感染していました。

学術的にはハンセン病として知られるこの疾患はライ病とも呼ばれますが、米国ではまれであり、通常、海外旅行歴のある居住者、またはハンセン病がより一般的に広まっている地域から移住した人々の間で見られます。

今回のCDCの報告によれば、感染傾向は変化する可能性があり、医師はこの点に注意する必要があるということです。

この報告によると、2015年から2020年の間に新たに疾病に罹患した人の約34%がこの病気と診断された模様です。研究レターによれば、患者は地元で感染したと思われ、ハンセン病がフロリダ州で流行を繰り返す「風土病(エンデミック)」になっていることをうかがわせると指摘されています。

この報道ではまた、過去10年間に米南東部の州で報告されたハンセン病患者の数は2倍以上に増加したとされています。

フロリダ州は2020年に27件の感染者を出し、これは全米各州における首位となりました。

WHO世界保健機関の発表では、2020年に報告された新規のハンセン病の症例数は、米国が159例、世界では20万例とされ、研究レターによれば、フロリダ州中部の症例数は州全体の81%を占め、全米の症例数のほぼ5件に1件を占めていました。

ハンセン病は皮膚の下の神経を攻撃するらい(レプラ)菌によって引き起こされる慢性感染症で、主に皮膚と末梢神経系に影響を与え、感染すると病変や発疹の症状が表れ、神経が侵されてしびれたり感覚がなくなったりします。また放置すれば手足がまひしたり、失明したり、手足の指が短くなったりすることがあります。

感染経路は完全には解明されていないものの、感染者のせきやくしゃみの飛沫(ひまつ)から感染するとの説が有力です。治療は可能ですが、抗生剤を組み合わせて何年間も服用する必要があるということです。

ただ、米国では医師がハンセン病の診断に不慣れで診断が遅れることが多く、それにより神経や皮膚の損傷といった症状の治療が難しくなることもあります。また菌の増殖が遅く発症まで最大20年かかることから、感染源や経路の特定が難しいという側面も指摘されています。

 


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