欧州が世界最大のコカイン消費地域になる可能性
南アメリカの麻薬密売業者の注目が利益の多い欧州市場に向かっていることから、欧州諸国が世界最大のコカイン消費地域となりつつあります。
欧州では、コカイン摘発件数が2016年以降、毎年のように増加しています。2021年には、6万8000件の摘発で303トンが押収されて記録をさらに更新しました。
コカインの使用量が増えたことは、港湾都市を中心とした欧州全体でのこれまでにない麻薬関連暴力事件の増加につながっています。また、コカインの過剰摂取による死亡者数も増加しています。
欧州でのコカイン消費増加はさらに、他の国々にも深刻な問題を引き起こしています。この関連でコロンビアの国防大臣は先日、欧州がコカイン消費を減らして麻薬密売買との戦いの責任を果たすべきだと述べています。
コカインは、南アメリカに生育する植物・コカから製造される麻薬で、欧州では通常、一般的な粉末状、もしくは クラックと呼ばれる塊状で流通しています。
欧州でコカイン密輸の主要な経路となっている港は、スペイン・バレンシア、ベルギー・アントワープ、オランダ・ロッテルダム、フランス・ルアーブル、ドイツ・ハンブルクなどですが、UNODC国連薬物犯罪事務所の報告書は、中でもベルギーとオランダが中心拠点になっているとしています。
入手可能なデータによれば、2021年に欧州において薬物過剰摂取で死亡した人のうち、約5分の1がコカインを使用していたことが示されています。
しかし欧州諸国はこのような危機に対処する意志が欠如しており、そのために、欧州の特に港湾都市を目的地とした、コカイン使用目当てのツアー、即ちドラッグツーリズムという現象まで発生しています。