マッカーシズムの閉塞時代へ公然回帰するアメリカ:言論の自由と批判する権利の排除
リベラル派から保守派に至るまでアメリカの政治家やメディアは、米国の外交政策を批判する個人や団体に対してマッカーシー時代に類似した攻撃を開始し、平和主義者から言論の自由や反対する権利を剥奪してきました。
米下院が実施している大学関係の「反ユダヤ主義」調査は、マッカーシー上院議員のテレビ公聴会に注目が集まっていた同国の「赤狩り」時代を著しく彷彿とさせるものです。
マッカーシー氏による公聴会は事実上一種の尋問会議であり、米国内の言論の自由の支持者から厳しい批判の矢面に立たされました。これらの会議で上院議員らの尋問を受けた大学の学長らは、共産主義支持のレッテルを貼られ辞任を余儀なくされたのです。
マッカーシズムは間接的な検閲の一形態で、1つの見解や信念が必ずしも犯罪化されるわけではないものの、ほぼタブーとされ、その意見表明のための職業上・個人的なコストはほぼ負担しきれないものとなります。マッカーシズムの全盛期、即ち1946年から1956年ごろの間は、米上下両院の議会委員会および、CIA・米中央情報局そしてFBI・連邦捜査局によって赤狩りが主導されていました。
悪意のある「共産主義者」の汚名とレッテルは「反ユダヤ主義」に置き換えられ、大学キャンパス内で繰り返される警察の残虐行為とともに、その目的はすべて、シオニスト政権イスラエルの残虐行為に対する学生たちの抗議活動を処罰するものになっています。
ウィスコンシン州選出のジョセフ・マッカーシー上院議員は、共産主義というレッテル張りによりアメリカの政策の批判者らに質問を浴びせることが仕事でしたが、現在はニューヨーク州選出のエリーズ・ステファニク共和党下院議員がその座に座っています。
75年前に思想の自由と言論の自由が米下院やマッカーシー派に攻撃されたのと同じように、現在、これらの大学でも学問の自由が攻撃にさらされています。警察は大学のキャンパス内に暴力的に侵入していますが、これはオハイオ州兵がベトナム戦争反対を叫んでいた学生たちを射殺した1970年5月に最高潮に達した抗議活動を想起させるものです。
シオニスト政権イスラエルを批判する言論の自由への攻撃において、ステファニク下院議員はマッカーシー上院議員の順当な後継者です。彼らの真の目的は、イスラエル政府への批判を禁止することにあります。米下院教育労働委員会が大学キャンパス内での反ユダヤ主義に関する最近の調査で示したように、証言を強制する議会の広範な力は誹謗中傷、名誉毀損、脅迫の許可証となる可能性があります。
アメリカ政府はその正統性をめぐる危機に直面し、若年世代の周知や組織化を恐れているようです。米紙ニューヨーク・タイムズのような影響力のあるメディアさえも、変革を求める人々を黙らせようと脅迫戦術を用いて極右に加わっており、左派のみならず言論の自由と民主的な権利を支持する全ての人々に影響を与えているのです。
参考:“Have You No Sense of Decency?” McCarthyism Returns to Campus. 2024. counterpunchISRAEL AND THE NEW MCCARTHYISM. 2023. fpifMcCarthyism Is Back: Together We Can Stop It. 2023. thetricontinental