8兆ドルの危機:対外戦争がもたらした米国内の銃犯罪増加
(last modified Sun, 19 May 2024 11:16:41 GMT )
May 19, 2024 20:16 Asia/Tokyo
  • 8兆ドルの危機:対外戦争がもたらした米国内の銃犯罪増加
    8兆ドルの危機:対外戦争がもたらした米国内の銃犯罪増加

近年の米国では、反移民感情から銃などの武器を所持・携帯する人々が増加しています。

米国では、国内外の脅威に対する恐怖感や危機感から、週末に射撃の練習やサバイバル訓練をする人々が増えています。

こうした人々は、単に娯楽としてではなく、移民による脅威を現実のものとして捉え、それに備えるためこのような活動を行っています。彼らは仕事中やランニングに出かける際も武器を携帯します。

これらの人々の大半は農村部に住む白人とされます。彼らは人里離れた場所に住んでいるため、孤独感が強く、他者と関係を築くことが不得意といわれます。このことが、彼らを不安に駆り立てるのです。

コロナ前の2019年時点で、すでにアメリカ人の中に自分を孤独だとみている人が増えていると専門家は指摘していました。特に農村住民や高齢者の間では、5人に3人がそのような感情を抱いていることがわかりました。

このような孤独感は、身体の健康を害するだけでなく、アルコール・薬物依存症やうつ症状、自殺願望などを引き起こします。特に、社会的交友関係の欠如がより症状を悪化させます。

米国では、国内外の脅威に対する恐怖感や危機感から、週末に射撃の練習やサバイバル訓練をする人々が増えています。こうした人々はたいてい家で過ごすか、1人でできる活動にのめりこみます。トランプ前大統領の支持層の多くもこうした人々であり、彼らは自分たちが社会から隔絶され、そのために怒りに駆られていると感じています。

トランプ支持層の多くが、白人・中高年・農村住民であり、支持集会に出席することで自分の自我を保ち、自分が社会とつながっているという安心感を得ます。

政治学者のハンナ・アーレントは、全体主義について以下のように記しています。

「無力感や孤独を募らせている人々が、このような(全体主義的な)動きに同調する」

トランプ氏やその側近も、人々のこうした孤独感を利用し、ひとつの社会現象へと導いたのです。

もうひとつ留意しておくべき点が、米国政府による軍事予算の増加により、福祉や社会保障がないがしろにされ、それにより人々の孤独感が増しているということです。米ブラウン大学の調査によれば、およそ8兆ドルがアメリカの戦費につぎ込まれました。これは、米国市民の福祉向上に十分な金額でした。

アメリカ政府の予算配分が現状のままであれば、今後、人々の孤独感や怒りは増す一方で、いつかそれが大きな火を噴くことは想像に難くありません。

 

 

 


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