「私たちの骨を返して」 豪州議員の英国王に対する叫び
21日、オーストラリア議会で英国のチャールズ国王が演説した際、先住民アボリジニ出身の議員が「あなたは私の王ではない」「この土地はあなたのものではない」などと叫ぶ出来事がありました。
【ParsToday国際】チャールズ国王に向かって叫んだのは豪上院のリディア・ソープ議員で、大英帝国によるオーストラリア先住民の大量虐殺を非難し、同国の先住民から盗まれた土地と財産の返還を要求しました。
カミラ夫人とともに国王即位後はじめてオーストラリアを訪問したチャールズ国王は、顔に泥を塗られた形となりました。
オーストラリアは英国王を君主とする英連邦の一員ですが、この体制に反対する勢力は主に2つに分けられます。ひとつは、ソープ議員のような先住民にルーツを持つ人々で、かつての大英帝国がオーストラリア先住民を虐殺し、白人支配の国に変えてしまったと訴えています。
もうひとつは、先住民のルーツは持たなくとも、英国王を頂点とする立憲君主制に反対し、共和制への移行を求める人々です。
ソープ議員はこうした世論を背景に、英国王に向かって
「あなたは私たち先住民に対するジェノサイドに加担している。私たちの土地を返して。私たちから奪ったものを返して」
と叫んだのです。
ソープ議員の主張は、共和制支持派の市民からも共感を集めています。
英国による植民地支配は、破壊と虐殺の上に成り立っていました。そうした歴史を抱えながら、今では人権を謳う国のひとつに名を連ねています。ソープ議員の叫びは、英国のそうした欺瞞を暴いたのです。
「あなたたちは私たちの土地を破壊した。あなたたちはジェノサイドを犯した。ここはあなたたちの土地ではない。あなたは私たちの国王ではない」
先住民の衣装を身に着けたソープ議員は、警備員に連行されながらも英国による植民地主義への批判を叫び続けました。
オーストラリアの先住民政策を批判する人々は、同国が先住民の権利実現にむけて行動を起こさないばかりか、むしろ問題を見て見ぬふりをしていると訴えています。
そして、チャールズ国王もオーストラリアの先住民に一切言及することがなかったため、ソープ議員のような怒りの声が噴出しているのです。
英国はガザやレバノンを攻撃するイスラエルにも完全な支持を表明しており、今回の一件とあわせてその植民地支配国としての欺瞞が世界に対して暴かれたといえます。