孤立無援のゼレンスキー大統領
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孤立無援のゼレンスキー大統領
米露両首脳がウクライナの頭越しに停戦協議を進めようとしていることで、ゼレンスキー大統領は米政府への失望・不信感を深めています。
【ParsToday国際】トランプ米大統領は12日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、主にウクライナ戦争終結に向けた道筋について話し合いました。ロシア外務省特使のロディオン・ミロシュニク氏は両首脳の会談について、「欧州諸国の間に恐怖と懸念を引き起こしている」と述べました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、米露がウクライナ抜きで停戦協議を始めるのではないかと懸念し、「ウクライナが関与せずに成立する合意は一切受け入れない」と反発しました。しかし、米露による停戦交渉開始の機運はやまず、18日にも両国の担当者がサウジアラビアで交渉を行うと報じられました。
一方、ドイツ、フランス、イギリス、ポーランド、イタリア、スペインなどの欧州諸国および、欧州対外行動庁、欧州委員会は13日朝、共同声明を発表し、ウクライナの「独立、国家主権、領土保全」への支持、ならびにウクライナにおける「公正な恒久平和」の実現を目指すという条件で米国と協力する用意があることを強調しました。
ウクライナ・ロシア戦争の最も重要な原因をたどっていくと、NATOがウクライナ加盟に前向きな姿勢を示し、その東方拡大政策がロシアにとって脅威と映ったことです。戦争が始まってからも、西側諸国の指導者らはウクライナのNATO早期加盟が停戦のカギだと訴えてきました。
ゼレンスキー大統領はこの間、NATO加盟のために西側諸国の気を引こうとしてきましたが、未だに加盟は実現せず、戦争も続いています。むしろトランプ政権発足後、ウクライナのNATO加盟は遠のいてすらいます。トランプ氏はウクライナのNATO加盟について「現実的ではない」と明言し、ヘグセス国防長官もNATO国防相会議のため訪問したドイツで「ウクライナの国境が2014年時点に戻ることは不可能だ」と述べました。
イランのことわざに「ここでは置いてけぼり、あそこからも追い出され」というものがあります。これは、状況の変化あるいは誤った決断により、前進するどころか、さらなる損失や損害を被り、混沌とした不透明な状況に陥ったままになっている人々や状態を指します。現在のウクライナの置かれた状況は、まさにこのことわざが意味するものとなっているようです。