発展の鏡に映るBRICS:イランの若者の栄誉からAIの展望、そして問題化する米国の関税まで
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BRICS圏で目立つイランの若者の活躍;ガヴァーミープール氏が「今年のソーシャルソリューション」賞を受賞
イランが所属するBRICS新興経済国グループが、昨今の世界情勢の焦点となっています。それはイランの若者らが国際大会で輝かしい活躍ぶりを見せ、また中国の有識者らが安定の象徴およびAI人工知能開発のプラットフォームとしてのBRICSの役割を強調していること、さらにこの新興圏のさらなる結束がアメリカの通商面での圧力により新たな試練に瀕していることなどによります。
こうした一連の出来事は、BRICSが課題に直面しながらも、グローバル・サウスにおける協力の主要軸の一つであり続け、世界の経済力のバランスを変化させつつあることを物語っています。
【ParsToday国際】このニュースでは、BRICS圏内における最も重要な動向を取り上げていきます。
BRICS圏内でイランの若者が大活躍;ガヴァーミープール氏が「年間ソーシャルソリューション」賞を受賞
イランの若者人材、レザー・ガヴァーミープール氏が、第3回「BRICS・SCO若手パイオニア賞」のうちの「年間ソーシャルソリューション」部門の受賞者に選ばれました。この功績は、国際舞台におけるイランのイノベーションと技術外交の能力を反映するものです。ロシア南部カザンで開催された授賞式典では、BRICSとSCO上海協力機構に加盟する9カ国から優秀な10人の若者が表彰されました。この中の1人が、AI人工知能を基盤とした革新的な教育プログラムの創始者となったがヴァーミープール氏です。このプログラムは、利用者一人ひとりの能力と強みを特定したうえで、個々人に適した教育プログラムを設計します。この教育プログラムは、参加者を起業と収入創出へと導くもので、これまでに6万人以上がこれらのコースの恩恵を受け、1万人以上がこのプロジェクトの無料ワークショップや講義に参加しました。
世界の安定の象徴かつ、AI発展のプラットフォームとしてのBRICS
中国・復旦大学BRICS研究センター所長は、「この経済圏は、激動の世界において安定、協力、そして革新の模範となっており、加盟国にとって優先事項とされるべきものはAIインフラの整備である」と述べました。中国・復旦大学BRICS研究センター所長で国際関係学教授の沈逸氏は、BRICSが運営する放送局BRICS TVのインタビューで、この経済圏を平和共存と共通の発展の象徴だとし、「発展途上国はその経済的潜在力と協力の機会に注目し、この新興経済圏への参加に関心を抱いている」と語っています。沈所長はまた、BRICSの最も重要な成果の一つとして、従来の金融機関とは異なりインフラプロジェクトへのより効果的な支援を提供するNDB新開発銀行の設立を挙げました。そして「AIを基盤としたインフラ整備は加盟国にとって喫緊の課題である」とし、「共同投資とAI技術センターの設立は、この組織の全加盟国にとっての利益への道を切り開くことになる」とコメントしています。
米国の通商関税:BRICS結束・統合に立ちはだかる新たな課題
英キャピタル・エコノミクスのアナリストらは、「通商面での米国の圧力行使はBRICS経済協力の将来にとって深刻な脅威となる」と警告しました。米国がインド製品に25%の関税を課した結果、インドは実効関税率が36%に達し、主要経済国の中で関税率が最も高い国となっています。またブラジルも米国との政治的・司法上の対立から懲罰的関税に直面しており、南アフリカは土地改革をめぐる緊張に直面しています。こうした状況を受け、ブラジルのルラ大統領が提唱したBRICS加盟国間の更なる結束・統合に関する議論が白熱化しているものの、多くの加盟国は依然として米国との関係悪化を最小限に抑えることを望んでいます。