戦争での米の勝利をめぐるトランプ氏の根拠なき主張;アフガンとイラクでの経験の意図的な忘却
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空母ジョージ・ワシントン上で軍に向けて演説するトランプ大統領
ドナルド・トランプ米大統領が、「アメリカはどの国と戦争しても勝利する」と主張しました。
【ParsToday国際】トランプ米大統領は28日火曜、「米国はいかなる戦争にも勝利する」と主張したものの、近年のアメリカによる際限のない戦争、特にアフガニスタンとイラクからの不名誉な撤退については言及していません。最近では、トランプ氏は米軍横須賀基地の空母ジョージ・ワシントン艦上で行なった軍関係者への演説で「今後、もし戦争に突入すれば、我々は勝利するだろう」と断言しています。
トランプ大統領は、世界平和の実現のための権力行使を強調しつつも、「過去の政権とは異なり、我々は政治的に行動することはない」とし、「アメリカの各都市の安全維持のために陸軍と州兵を動員する用意があり、必要であればあらゆる軍を動員する」と語りました。
トランプ氏のこのような事実無根の主張は、2001年のアフガン戦争と2003年のイラク戦争という、アメリカが戦った二大戦争における歴然たる事実と矛盾しています。ジョー・バイデン前大統領の就任1年目の2021年8月、アメリカは20年間の占領を経て、アフガンから軍を撤退させるという恥をさらし、事実上、アメリカ兵はアフガンから逃亡した形となりました。アメリカは、史上最長の戦争であるこのアフガン戦争で約2500人の兵士を失っています。
バイデン氏の指示による米軍のアフガン撤退は、最終的に当時のアフガン政府の崩壊とタリバン勢力による支配という事態を引き起こし、国内外から多くの批判を浴びました。しかしこうした批判にもかかわらず、ジョー・バイデン氏は米軍のアフガン撤退決定の正当性を強調し、アフガンからの米軍撤退後の最初の演説で、この戦争が20年間にわたり米国に1日3億ドルの費用を負担させてきたこと、そしてアメリカには撤退か軍事紛争のエスカレーションかという二者択一しかなかったことを認めています。
バイデン氏がアフガンからの米軍撤退を急いだ様子は、ベトナムからの米軍撤退時と驚くほど酷似しています。興味深いことに、トランプ現大統領は2025年4月、アフガンからの米軍撤退方法を「アメリカ史上最も恥ずべき瞬間」として批判し、「もし自分が大統領だったらこのような惨事は決して起こらなかっただろう」と主張していました。また、2003年のイラク侵攻と占領もアメリカにとって壊滅的な結果となりました。イラク国民の甚大な犠牲に加え、イラク軍事占領により数千人の米兵の命が奪われた他、米国経済と国際的な評判に多大な打撃を損害を与えています。米国防総省のデータによれば、イラク戦争全体における米軍の死傷者数は4487人にも上ります。
トランプ氏は第1期政権中にあった2019年3月の演説で「我々は西アジアに7兆ドルを費やしたが、そこにライトを点灯させたまま着陸することはできない」とコメントしていました。これは、トランプ氏がイラクに極秘訪問した際に、予期せぬ予告なしの訪問を余儀なくされ、同氏の乗った特別機がイラク西部アンバール州の米軍基地にライトが消えた状態で着陸したことを指しています。
さらに遡ってバラク・オバマ大統領の任期中、米国はさらなる死傷者や被害を防ぐため、2011年12月までに15万人以上の部隊をイラクから撤退させました。しかし現在もなお、約2500人の米軍部隊がイラクの複数の基地に駐留を続けています。
総括すると、アフガニスタンとイラクにおける戦争は、21世紀のアメリカ軍史における最大の失敗と敗北の二つとして歴史に刻まれていると言えます。こうした否定しようのない事実にもかかわらず、トランプ氏は今になっても、米軍に対する演説で、アメリカがこれらの戦争に勝利したと言い張っているのです。もしトランプ氏がアメリカの過去の戦争について言及しているなら、アフガンとイラクの経験はアメリカの完全な敗北の2つの例となります。仮にトランプ氏が、特に中国やロシアのような軍事大国に対し今後起こりうる戦争でのアメリカの勝利について言及しているのであれば、この結論もまた時期尚早であり、アメリカの敵対国の軍事力を考慮していない、単なる未証明の主張に過ぎないと言えるでしょう。

