イスラエルとエジプト:ガス協定の停止で損害を被るのは?
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一部のエジプト人軍事専門家らが、同国に対するシオニスト政権イスラエルのガス関連の示唆・脅迫に反応し、「イスラエルはエジプトに睨みを利かせる手段としてガスを利用することはできない」との見解を示しました。
(last modified 2025-11-08T05:15:51+00:00 )
11月 08, 2025 11:58 Asia/Tokyo
  • イスラエルとエジプト:ガス協定の停止で損害を被るのは?
    イスラエルとエジプト:ガス協定の停止で損害を被るのは?

一部のエジプト人軍事専門家らが、同国に対するシオニスト政権イスラエルのガス関連の示唆・脅迫に反応し、「イスラエルはエジプトに睨みを利かせる手段としてガスを利用することはできない」との見解を示しました。

サウジアラビアのニュース局アル・ハダスは、エジプトとイスラエルに関する報道において「イスラエル政権がエジプト・シナイ半島におけるエジプト軍の軍事駐留強化を主張し、イスラエルのコーエン・エネルギー相がエジプトとの巨額ガス取引を受諾しないと脅迫したこと、そして同政権のカッツ国防相がエジプトとの境界地帯を閉鎖軍事地域にすると発言したことでエジプト・イスラエル間の緊張が高まる中、エジプトの軍事専門家は、ガス取引がイスラエルにとって有利な材料にはならないとの見方を示した」と報じています。

【ParsToday国際】エジプト情報局長のディア・ラシュワン(Diaa Rashwan)氏は、「エジプトはシナイ半島における自国の軍事力について、イスラエルに明確なメッセージを送っている」と語りました。

一方、地域情勢とイスラエル問題の専門家であるワエル・ラベ(Wael Rabe)氏は「イスラエルの提案は、同政権のメディア戦争と国内消費、そして自らがいかにも占領地外からの脅威に瀕しているかのように装うという戦略によるもので、ネタニヤフ・イスラエル首相が領内危機の際に用いるお決まりの手法だ。イスラエルのエネルギー相によるガス協定に関する発言も、この方針とネタニヤフ首相自身の指示に沿ったものだ」と述べています。

また「この協定には、2040年までのリヴァイアサン・ガス田(イスラエル沖合の地中海にあるガス田)からの1300億立方メートルのガス供給が含まれている。イスラエルはこの協定離脱により数十億ドルの経済的損失を被ることになる。それは、この協定には厳しい罰則条項が付されているためで、この協定からの離脱は困難である」とコメントしました。

さらに、「このガス協定の停止と中断が次の3つの理由から、エジプトにとって不利益ではなく利益である」と強調し、

「第1に、エジプト首相が発表した指標によれば、同国は2027年までにガスの自給自足を達成する見込みである。第2に、エジプトは風力と太陽光発電への移行を進めており、これによりガスへの依存度が低下する。第3に、エジプトの原子炉が2027年に稼働を開始する予定で、これによりエネルギーとガスの分野でエジプトの自給自足が確保される」と語っています。

ラベ氏はまた、シナイ半島に駐留するエジプト軍に関して「彼らの駐留は合意違反ではなく、1979年の平和条約に基づいたものである」と説明しました。

加えて「イスラエルが言及している部隊とは、密輸やあらゆるテロ活動を含む一切の危険からエジプトの国境を守るためにシナイ半島に駐留している対テロ部隊と国境警備隊を指している」と強調しています。

 そして、元エジプト石油・金属資源相オサマ・モハメド・カマル氏もアル・ハダスのインタビューで「イスラエル産天然ガスはもはやエジプトのエネルギー市場のバランスに影響を与える要因ではなくなっている。イスラエルは経済需要を満たすために天然ガス収入への依存度を高めており、最近の天然ガス輸出停止によって最も大きな打撃を受けている」との見解を示しました。

同氏はまた「エジプトはいかなる状況においても、ガス問題が自国に対する政治的圧力の手段として利用されることを容認しない。また、イスラエルが公然と強硬な公式姿勢をとった場合、エジプト政府は時宜に応じて対抗できる重要な切り札を持っている」と強調しています。

さらに「ネタニヤフ首相がガス協定を停止または取りやめた場合、この決定は経済に直接的な悪影響を与えるため、彼はイスラエル議会クネセトから相当に反発を受けるだろう」との見方を示しました。

また「エジプトは、戦略面での柔軟性に加えて、世界のガス市場に影響を与えるあらゆる地政学的または経済的変化への対処能力を与える統合システムを備えている」と語りました。

加えて「エジプトは絶えずエネルギー供給源の多様化に努めており、これにより地域的な圧力やパートナーによる一方的な決定に左右されない、安定性と長期的計画の実現が可能だ」と述べています。

そして「エジプト政府は、世界的な混乱を受けて代替エネルギーを求める東地中海地域のガス生産者、と欧州およびアジア市場との重要な架け橋としての地位を強化し、地域のエネルギー拠点となるという明確なビジョンを抱いている」としました。

イスラエルのコーエン・エネルギー相が、政治・経済的理由からエジプトとの大規模なガス取引の締結に反対を表明し、「イスラエルの安全保障上の利益が保証されないうちはエジプト向けガス輸出契約に署名しない」と発言したことは注目すべきものです。

 

 


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