イラン、ペルシャ湾にキルゾーンを設定;積極的な海上抑止戦略へ
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イランの海上抑止戦略
イランは南部ペルシャ湾において、自国の沿岸部の地形と移動式ミサイルシステムを利用して敵軍の行動の自由を制限する「キルゾーン(殺傷区域;待ち伏せ攻撃などで敵を一気に殲滅する予定場所)」と呼ばれる構想を実施しています。
マシュレグ・ニュースによりますと、イランは非対称戦と海上抑止力という枠組みで、「キルゾーン」と呼ばれる戦略を推進しています。この戦略は、ペルシャ湾の地理的特徴を利用した移動式沿岸システムの配備により実施され、敵艦、特に米国の作戦リスクを高めることを目的とし、効果的な多層射撃によってカバーされる領域に敵軍を誘導するものです。ペルシャ湾は水深が浅く通信回線が集中していることから、大型艦の操縦が困難な環境となっており、イランはこの地理的優位性・地の利を活かすことができるのです。
「ヌール」および「ガディール」ミサイルファミリーを含むイランの沿岸配備型対艦ミサイルシステムは、主に移動式シャーシ(車台)に搭載されており、迅速な展開、一時的な位置からの射撃、そして任務完了後の即時移動が可能です。こうした可動性と分散性により、敵は広範囲かつ費用のかかる偵察・制圧作戦を強いられることになります。この意味での「キルゾーン」の概念には、対艦巡航ミサイル、弾道ミサイル、偵察用無人機、電子戦システムを同時に網羅するネットワークが含まれており、これにより射程圏内のあらゆる地点において脅威が増大します。
キルゾーン戦術とリスク管理
この戦術が効力を発揮するには、電子戦耐性を持つ指揮系統、正確な偵察システム、異なる射撃層間のタイムリーな連携、そして重要拠点の効果的な防御が不可欠です。そしてその最終的な目標は、単発攻撃に頼らずに敵艦の行動の自由の制限により敵側にコストを課すことです。アメリカの艦艇が高度な防御システムを備えていたとしても、「飽和・多軸攻撃」の原則により作戦が複雑化しリスクが増大することになります。
結果的に、イランの「キルゾーン」戦略は一地理的地点を超えたネットワーク基盤の作戦構造となります。それは即ち、地理、システムの可動性、そして偵察と電子戦ツールの相乗効果に依拠し、敵対勢力にとっての作戦の費用対効果・コストパフォーマンスの方程式を覆すとともに、ペルシャ湾におけるイランの抑止力をまざまざと見せつけるものなのです。

