西側の犯罪を再考する|ソマリアにおける米国の犯罪
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ソマリアにおける米軍の無人機攻撃による被害
米国は東アフリカ・ソマリアで空爆と軍事作戦を実施し、広範囲にわたる民間人の犠牲者を出した経歴があり、その多くは人権団体から非難されています。また、これによる実際の死者数は米国防総省の発表をはるかに上回る可能性が高いと見られます。
【ParsToday国際】ソマリアへの米軍介入は、2001年9月11日の米同時多発テロ事件後のいわゆる「国際テロ対策」の一環とされています。この介入は2007年から続いており、航空作戦、情報支援、現地部隊の訓練、アフリカ連合軍との協力などが含まれています。米国は「標的はあくまでもアル・シャバブやISISといったテロ組織である」と主張していますが、多くの報道によれば、これらの攻撃はしばしば民間人の死を引き起こしており、しかもこうした犯罪の多くは西側メディアの目に触れないよう隠蔽されてきました。例えば、1993年10月の首都モガディシュ戦闘では、数百人のソマリア人が米軍によって殺害されています。
無人機による攻撃
今回の介入における最も重要な側面の一つは、米軍による無人機MQ-9リーパーを用いた攻撃です。これらの攻撃は主にソマリア中部と南部で行われ、その目的は過激派グループの構成員の抹殺とされています。しかし、複数の国際監視機関の報告によれば、実際の民間人犠牲者数は米国防総省の公式発表の最大30倍にも上るということです。例えば、ソマリア中部ヒラーン州の中心地ベレトウェインへの攻撃に関して、米国防総省は「この攻撃で死亡したのはアルシャバブ構成員13名のみで、民間人の負傷者はいなかった」と主張しましたが、独立系情報筋は20名以上の民間人が死亡したと報告しています。
国際空爆を監視する非政府組織・エアウォーズの報告によると、米軍は2007年から2022年8月末までにソマリアで260回の作戦を実施している。国防総省はこの作戦回数を認め、それ以降民間人5人が死亡、11人が負傷したと主張している。一方、英ロンドンを拠点とするNGO・エアウォーズは、米国防総省が確認した攻撃で、少なくとも78人から153人の民間人が死亡し、そのうち20人から23人は子供だと推定しています。
経済・社会面での影響
エアウォーズはまた「米軍によるソマリア爆撃は地域の安全保障に貢献していないのはもちろん、このアフリカの国の人々の間に恒常的な情勢不安と広範な貧困を引き起こしている」と表明しています。人的損失に加え、これらの攻撃はソマリアにおいてさらなる情勢不安を扇動しました。米国は「これらの行動はソマリア連邦政府を支援している」と主張していますが、多くのアナリストは「特に国際的な監視なしでの外国軍の駐留により暴力が激化し、過激派組織の力が強まっている」と考えています。テロ組織アルカイダと関係のあるアルシャバブは、これらの攻撃を利用して兵士を募集し、反西側的なプロパガンダを広め、一部の地域で巧みに影響力を拡大しています。
トランプ氏とソマリア
ドナルド・トランプ氏の政権復帰により、ソマリアにおける米国の空爆はISIS狙いであることを主張して実施されましたが、独立系報道機関は公式声明では隠蔽されていた民間人の犠牲者を報告しています。例えば、第2次トランプ政権発足後最初の数日間に、米軍はソマリアのISIS拠点に対して大規模な空爆を実施しました。トランプ氏はSNS上で、この空爆は「正確」で「民間人に一切の被害を与えなかった」と主張しましたが、人権団体や現地の情報筋は異なる見解を示しています。目撃者は、洞窟とその周辺地域への爆撃で、女性や子供を含む複数の民間人が死亡したと報告しています。公式発表と独立系報道機関のこの矛盾は、米軍の透明性と説明責任に対する懸念を引き起こしています。全体として、第2次トランプ政権における米国のソマリア空爆は、テロとの戦いを主張しながらも、より多くの人的犠牲者と地元住民の不信感を引き起こした格好となっています。
結論
米国のソマリア介入はテロリズム減少につながらなかったのみならず、逆に民間人の犠牲者、中央政府に対する国民の不信感、そして過激派組織の強化をまねきました。人権団体は、これらの攻撃に関する透明性の確保と、米国当局者の責任追及を求めています。また、多くの人権活動家は、国際的な監視や人道的影響の考慮を伴わない武力行使は、人権法および国際法に対する明白な違反であると強調しています。この状況は、危機に瀕した脆弱な国に対する米国の介入政策が解決策とならないだけでなく、それ自体が問題の一部と化していることを示しています。長年にわたり内戦と貧困に苦しんできたソマリアは今や新たな課題に直面しており、その一部は米国の軍事行動の直接的な結果に他ならないのです。

