米国の矛盾した政策:密輸業者への恩赦と対ベネズエラ攻撃
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米国の政策は矛盾だらけ;密輸業者を恩赦しベネズエラを攻撃
トランプ米大統領が麻薬問題で南米ベネズエラに攻撃を示唆する一方、麻薬密売などの罪で収監中のホンジュラス前大統領に対する恩赦を発表しました。
ドナルド・トランプ氏は「麻薬戦争」を口実にあらゆる対ベネズエラ脅迫を正当化する一方で、麻薬密売人であるホンジュラス前大統領への完全恩赦という矛盾した行動に走っています。
【ParsToday国際】ファールス通信によりますと、トランプ氏が中米ホンジュラスでの大統領選直前に同国のフアン・オルランド・エルナンデス前大統領に「完全かつ無条件の恩赦」を与えたことからで、同選挙への米国の介入疑惑が高まっています。ホンジュラスでの総選挙をわずか2日前に控えた先月28日、トランプ大統領は麻薬密売などの罪によりアメリカで収監中のフアン・オルランド・エルナンデス氏への恩赦を発表しました。これに先立ち、米国の検察は、麻薬カルテルからの収賄容疑でホンジュラス前大統領だったエルナンデス氏を麻薬カルテルからの収賄容疑で起訴しており、米裁判所は2024年、「麻薬および武器の密売」、特に400トンのコカインの米国向け輸送を幇助した罪で同氏に対し懲役45年、および800万ドルの罰金の実刑判決を言い渡しています。
エルナンデス氏は、ドナルド・トランプ氏が支持するホンジュラスの保守党・国民党に所属しています。同党は、最近のホンジュラス大統領選挙でライバルの自由党と接戦を繰り広げました。トランプ大統領の恩赦が発表された後、エルナンデス氏の対抗馬を含むホンジュラス政治家の一部は、同国の選挙への介入や操作を狙ったとしてトランプ大統領を非難しました。今回の恩赦のタイミングからして、この非難は妥当なものと考えられます。先月30日に実施されたホンジュラス総選挙は、トランプ大統領が支持する国民党の候補者が、僅差ながらライバルの自由党をリードしています。
トランプ氏よ、国が違えば麻薬は別物か?
トランプ大統領は「麻薬戦争」を口実にベネズエラへの脅迫を続ける一方で、麻薬密売者であるホンジュラスの政治家を恩赦するという行動に出ました。トランプ氏は数ヶ月にわたり、ベネズエラ周辺に多数の部隊と装備を配備し、同国の船舶への攻撃を命じており、これらの攻撃により現在までに約83人の民間人が死亡しています。さらにトランプ氏は、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領自身が麻薬密売に大きく関与していると主張しています。米国はベネズエラを麻薬密売の罪で非難していますが、UNODC国連薬物犯罪事務所の公式統計によれば、コロンビア、ペルー、ボリビアがそれぞれ最大のコカイン生産国となっています。アメリカの複数機関の統計によりますと、米国への麻薬輸送量が最も多いのはメキシコやコロンビアなどで、ベネズエラは「二次輸送ルート」とされています。
ベネズエラの原油に目がくらむトランプ大統領
トランプ大統領は常に「麻薬戦争」を口実に脅迫行為を正当化していますが、一部のアメリカの政治家やメディアは、これらの脅迫の背後にある真実はベネズエラの「黒い金」との称される石油にあると考えています。ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を誇り、世界で最も重要な地域の一つとされています。これまでに確認されている同国の原油埋蔵量は3100億バレルを超え、これはサウジアラビアやカナダをも上回るものです。この黒い金こそが、ドナルド・トランプを一石二鳥の狙いへと駆り立てる形となりました。その2つの目的とは、アメリカにとってこの地域での最大の敵対者・マドゥロを権力の座から引きずり下ろすこと、そして自らが思惑とする人物を大統領に据えることでベネズエラ産石油へのアクセスしやすくすることです。

