「ノーベル平和賞」が米国の対ベネズエラ戦争の道具となった経緯とは?
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米国およびシオニスト政権イスラエルに近いとされる南米ベネズエラの野党指導者、マリア・コリーナ・マチャド氏が去る10月10日にノーベル平和賞を受賞した直後、トランプ米政権はさらに大胆な行動に出て、陰に陽にベネズエラへの軍事行動に訴えました。
(last modified 2025-12-02T11:09:53+00:00 )
12月 02, 2025 20:08 Asia/Tokyo
  • ドナルド・トランプ米大統領(右)とベネズエラの野党指導者マリア・コリーナ・マチャド氏
    ドナルド・トランプ米大統領(右)とベネズエラの野党指導者マリア・コリーナ・マチャド氏

米国およびシオニスト政権イスラエルに近いとされる南米ベネズエラの野党指導者、マリア・コリーナ・マチャド氏が去る10月10日にノーベル平和賞を受賞した直後、トランプ米政権はさらに大胆な行動に出て、陰に陽にベネズエラへの軍事行動に訴えました。

英ロンドンに拠点を置くオンライン・ニュース「ミドル・イースト・アイ」は最近、「2013年からベネズエラの政権を掌握しているニコラス・マドゥロ政権は、ベネズエラの膨大な天然資源の支配を狙う米国帝国主義の計画に常に抵抗すると同時に、アメリカの干渉主義政策とイスラエルによるガザでの犯罪を非難してきた」と報じました。

【ParsToday国際】一方、ベネズエラ野党のマチャド氏はヨーロッパのファシスト潮流に近い政治家であり、イスラエルの熱烈な支持者であることから、米国とイスラエルによるベネズエラへの攻撃と同国の資源の奪取を公然と支持してきました。

ノーベル賞選考委員会がこのような人物に授賞するという決定は、ノーベル賞の正当性に深刻な疑問を投げかけるものです。ノーベル賞はこれまで、戦争犯罪で告発されたアメリカの外交家ヘンリー・キッシンジャーのような人物には授与されてきましたが、インドのマハトマ・ガンジーのような平和指導者には授与されていません。こうした傾向は、ノーベル賞が長きにわたり、西側の帝国主義と軍国主義に奉仕する道具となってきたことを物語っています。

これらの賞の歴史を振り返ると、以下のようなことが分かります;

- 1918年、毒ガスの発明者であるドイツの物理化学者フリッツ・ハーバーに化学賞が授与

- 1926年、デンマークの病理学者ヨハネス・フィビゲルに医学賞が授与。後になって実在しないことが判明した癌(寄生虫発癌説)の発見による

- 1949年、ポルトガルの神経科医アントニオ・エガス・モニスに医学賞が授与。「ロボトミー」という破壊的な治療法を発明

- 2008年、製薬会社アストラゼネカの資金援助による研究を行った人物に医学賞が授与

これらの例は、ノーベル賞が科学や倫理の卓越性を測る尺度ではなく、西側諸国の権力と利益を統合するための道具として利用されてきたことを示しています。著名なフランス人作家ジャン=ポール・サルトルでさえ、ノーベル文学賞を受賞した際に「作家は自分を生きた制度にすることを拒絶しなければならない」と述べ、賞を辞退しています。

これらの賞は、ダイナマイトの発明で「死の商人」の異名を持ち、後にこの賞の創設により人類にプラスの遺産を残そうとしたアルフレッド・ノーベルの遺言に由来しています。しかし今日、その遺産は平和と進歩の象徴というより、西洋の力を誇示するための手段に成り下がってしまいました。

今の現実は、世界が深刻な倫理的危機と存在の危機に陥っているという事態です。ノーベル賞はこの危機の解決策ではなく、むしろその兆候といえるものです。私たちは疑わしい人物を称えるのではなく、ガザ、スーダン、ベネズエラ、そしてその他の地域で、西側諸国の拡大する軍国主義の犠牲となった無辜の民を悼む必要があります。

今日、ノーベル賞は人類の象徴以上のもので、西側が現状を維持し、際限極まりない暴力を正当化するための文化的、科学的な隠れ蓑となっていると言えるでしょう。

 

 


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