中南米経済|米国とベネズエラの対立;カリブ海での危険な駆け引きがまねく原油価格上昇
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米国による南米ベネズエラのタンカー拿捕を受けて、中米カリブ海地域が再び緊迫化し、世界市場で原油価格が上昇しました。
(last modified 2025-12-16T13:51:36+00:00 )
12月 16, 2025 22:10 Asia/Tokyo
  • 米国、ベネズエラのタンカーを拿捕
    米国、ベネズエラのタンカーを拿捕

米国による南米ベネズエラのタンカー拿捕を受けて、中米カリブ海地域が再び緊迫化し、世界市場で原油価格が上昇しました。

今週初め、世界の原油市場では二つの相反する動向の衝突が見られました。中南米おける地政学的緊張の激化が原油価格を押し上げた一方で、東欧の和平見通しに伴う供給過剰の懸念が価格下落を引き起こしています。さらに、世界貿易の伸びに関する複数の新たな報告がなされていることから、状況は複雑化しています。

【Pars Today国際】このニュース記事では、これらの動向の様々な側面を検証していきます。

 

カリブ海におけるワシントンの危険なゲーム:ベネズエラ産原油タンカー拿捕は国内外で激しい反発に直面

アメリカは先般、制裁対象国であるベネズエラ産の原油を積載したタンカーを拿捕しました。しかし、この行動はベネズエラ政府から「国家海賊行為」として強く非難されたとともに、米国国内でも激しい批判を招いています。また、民主・共和両党の議員は、アメリカのこの行動が広範な紛争を引き起こしかねないと警告しています。分析によれば、この行動は西側諸国のエネルギー安全保障の強化どころか、ベネズエラ産重質油へのアクセスの制限により、米国メキシコ湾岸の製油所の供給不足と輸送コストの上昇をまねき、最終的には米国の消費者を逼迫すると見られています。さらに、この政策によりベネズエラがロシア及び中国という同盟国にさらに接近する可能性もあります。

 

欧州における和平の展望と原油価格にとっての脅威

世界の向こう側では、ロシアとウクライナの和平交渉が慎重に進められているものの、これは原油市場の決定的な下落要因と化しています。恒久的な合意が成立すれば、ロシアの原油輸送と輸出が完全再開され、世界の原油供給量が大幅に増加する可能性があります。その一方で、今月のロシアの原油収入は、主に原油価格の下落とロシアの通貨ルーブル高の影響で減少したとの報告もなされています。アナリストらは、主要な地政学的緊張が緩和されれば、来年初めのWTI米国産軽油の価格が1バレル55ドルを下回る可能性があると予測しています。

 

世界貿易は記録更新軌道に;課題を抱えながらも7%成長

こうしたエネルギー情勢の変動の中、UNCTAD国連貿易開発会議は世界貿易について明るい展望を示しています。2025年の世界貿易額は7%増加し、過去最高の35兆ドルに達すると予測されています。ここで注目すべき点は、この成長が価格上昇よりも、貿易される財・サービスの「実質量」の増加によって牽引されるという点です。これは、世界的なデフレ下における需要の相対的な安定を反映したものです。特に極東アジアは輸出が9%増加し、南南貿易(途上国・新興国同士で行われる貿易)も約8%の成長を遂げ、この分野を牽引しています。

総括として、石油市場は重大な局面を迎えています。中南米諸国における一時的な緊張の高まりにより、短期的に価格は高止まりしていますが、今後1年間のシナリオは主に2つの軸に左右されると考えられます。第1の軸は、欧州における和平交渉の行方とロシアの石油供給量、そして第2の軸は、米国とベネズエラの緊張の継続または緩和、そしてそれが重質油の供給量に与える影響です。こうしたエネルギー価格の変動を背景に、世界経済は減速しつつも、貿易成長の軌道を維持しているように思われます。

 

 


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