なぜ西アジア地域諸国はイランの安定を望んでいるのか?
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イランで発生した最近の混乱や、ドナルド・トランプ前米大統領による、いわゆる「抗議者」を支援するための軍事攻撃示唆は、西アジア地域諸国の間に深刻な懸念を広げている。
(last modified 2026-01-18T12:51:47+00:00 )
1月 18, 2026 19:49 Asia/Tokyo
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イランで発生した最近の混乱や、ドナルド・トランプ前米大統領による、いわゆる「抗議者」を支援するための軍事攻撃示唆は、西アジア地域諸国の間に深刻な懸念を広げている。

ParsTodayによると、トルコ紙「デイリー・サバフ」電子版は1月15日、ムスタファ・ジャネル氏の寄稿による「誰がイランの『体制崩壊』を望んでいるのか」と題する記事を掲載し、イランの最近の混乱と、トランプ氏の軍事介入の脅しが地域にもたらす影響を分析しました。

 

西アジア地域の地政学的変化

筆者によれば、イランの混乱は、西アジアおよび北アフリカが深刻な地政学的変動を経験している最中に起きている。直近の大きな転換点は「イスラム覚醒(アラブの春)」で、これによりに西アジア地域の政治構造が変化し、イランはシリア、レバノン、イラク、イエメンなどで影響力を拡大しました。

この状況を受け、一部のアラブ諸国はイランを不安定化の要因と見なすようになり、トランプ政権下で対イラン圧力は頂点に達しました。しかし、新型コロナウイルスの流行と米国の地域同盟国への関与低下により、サウジアラビア、UAE、エジプトなども新たな課題に直面しました。さらにウクライナ戦争が世界的な不安定性を増幅させ、地域の安定確保の重要性が一層高まりました。

こうした環境の中、イランとサウジアラビアは2023年に関係正常化を決断し、トルコもアラブ諸国との関係改善を進めました。

 

10月7日以降の展開とイスラエルの役割

2023年10月7日の事態以降、イスラエルは地域における最大の不安定要因と見なされています。イスラエルによるレバノン、シリア、さらにはイランへの攻撃は、地域全体の安全保障を脅かしています。イスラエル軍機が各国の領空を通過し、カタールなどが標的となる事例も確認され、緊張は拡大しています。

さらにイスラエルは、スーダン危機やアフリカの角地域の情勢、ソマリランドにおける分離主義支援などにも関与してきたとされ、安定した政治体制よりも国家の弱体化から利益を得る立場にあると指摘されています。

これに対し、トルコ、サウジアラビア、カタール、エジプトなどは、地域国家の統治能力強化と制度構築を重視しており、シリアへの関与や、スーダン・ソマリランド問題への対応でも共通の立場を取っています。イランもこれらの問題で、トルコやサウジアラビアと方向性を共有しているといいます。

 

イエメン情勢と地域間競争

最近のサウジアラビアによる空軍作戦は、イエメンにおけるイスラエルの計画に大きな打撃を与えたとされます。サウス・トランジショナル・カウンシル(南部暫定評議会)による攻撃は、リヤドとアンサール・アッラー(フーシ派)との交渉を妨害するものであり、サウジの安全保障上の脅威と受け止められました。

サウジアラビアの迅速な対応は、同国がアフリカの角および紅海におけるイスラエルの構想に対抗する意志を示したものと分析されています。トルコ、サウジアラビア、パキスタン間の最近の防衛協定も、こうした文脈で理解されています。

 

イランの混乱が持つ地政学的意味

西側メディアは、レザー・パフラヴィ氏を混乱の「象徴的指導者」として取り上げていますが、国内での実際の支持基盤には疑問が残ります。イスラエル政権との緊密な関係、イランへの攻撃支持、イスラエル国旗を掲げる支持者の存在は、今回の混乱がテルアビブの地域戦略と結びついていることを示しているとされます。

一部メディアでは、イスラエルにとってはパフラヴィ王政復活よりも、イラン分裂の方が望ましい選択肢だとの見方も報じられています。

こうした中、トルコ外相はイランの混乱の背後にイスラエルの関与があると示唆し、イラン側も、PJAK(クルド系武装組織)などに対するトルコとの情報協力を明らかにしています。オマーン外相のテヘラン訪問や、サウジアラビアによる継続的な外交接触も注目されています。

 

なぜ地域諸国はイランの崩壊を望まないのか

湾岸諸国を含むアラブ諸国の沈黙は、国内への不安定化の波及を恐れていること、そして米国による攻撃が行われた場合、イランの報復で自国が標的になることへの懸念に起因しています。

しかし、最も重要なのは、ワシントンやテルアビブが想定するイラン崩壊が、いずれの国にも管理不能な巨大危機を生み出しかねない点です。このため、イスラエル政権を除くほぼすべての地域アクターが、イランの安定維持を望んでいると結論づけられています。

 


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