米国がイランに対し協議と脅迫の二重政策を追求する理由とは?
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ドナルド・トランプ米国大統領
トランプ米政権は現在、イランに対して協議と脅迫という矛盾した政策を採用しています。
【ParsTodayイラン国際】トランプ政権はイランに対し、協議と脅迫と言う矛盾した二重政策を同時に推進しています。この点に関して、ピート・ヘグセス米国防長官は米政府関係者、特にドナルド・トランプ大統領が提起するイラン関連の矛盾した発言に注目し、「トランプ大統領はイランとの紛争を望んでいない」との主張を繰り返しました。
また「トランプ大統領は平和に尽力しており、イランが本当に合意を真剣に考えているなら、同大統領も合意に至ることを約束している。さて、事態がどうなるかを見守るしかない」と語っています。さらに、ヘグセス長官はイランに関するアメリカの主張を繰り返し、「トランプ大統領は、昨年の対イラン12日間戦争の最中、6月22日のミッドナイトハンマー作戦の前にも述べたように、当初からイランが核兵器製造能力を獲得すべきではないと明確に述べてきた。したがって、イランがこの分野で交渉するか、それとも我々には他の選択肢があるか、ということになる。そもそも戦争省(国防総省)が存在するのはそのためだ」と述べました。
トランプ米大統領はまた2日月曜、ホワイトハウスで「イランと協議を行っている。最終的にどうなるか見守るしかない」と述べました。さらに、矛盾した発言を繰り返し、「イランに大型艦船を派遣したばかりで、イランと協議を行っている。状況がどうなるか見守る必要がある」と付け加えています。この他にもトランプ氏は、「イランと協議中である。合意に至れば素晴らしいが、もし合意に至らなければ、おそらく悪いことが起こるだろう」とも主張しました。
第2次トランプ政権においては、米国の対イラン政策の矛盾ぶりがより顕著になっています。この政策は、軍事的脅迫と経済的圧力の一方での交渉への誘いとの抱き合わせであり、当然ながら、米国はイランに対する要求・目標の達成を狙っています。したがって、軍事的脅迫と経済制裁の拡大は、あらゆる交渉においてイランに米国の提示する条件を呑ませるための梃子として機能しているように思われます。
トランプ政権下でのアメリカがイランに対し二重政策を講じる主な理由の1つは、イランの核開発計画及び、同国の地域的影響力の強化能力に対する懸念だとされています。トランプ氏はJCPOA包括的共同行動計画(通称;対イラン核合意)の強硬な反対派であり、2018年にはこの合意から一方的に離脱しました。JCPOAからの離脱と制裁の再発動は、イランにとって一種の経済的・政治的脅迫となっています。トランプ氏は、最大限の圧力行使によりイランに再交渉を迫り、より厳しい条件を呑ませられると見込んでいました。
一方、トランプ大統領は、西アジア地域における最近の米軍の大規模配備を含む経済的圧力や軍事的脅迫の一方で、協議の可能性をも示唆しています。この二面性は、圧力下にあるイランが新たな条件を余儀なくされるような交渉に適した状況の創出、という米国の工作を物語っています。トランプ大統領は幾度となく、イランとの交渉の用意があると表明していますが、こうした協議への呼びかけは、実際にはトランプ政権の戦略の一側面であり、イランに対するより多くの要求を含み、より厳しい新たな合意成立の機会創出を目指していると言えます。核問題への要求、すなわち濃縮度ゼロと400kgの60%濃縮ウラン備蓄の廃棄または撤去に加え、トランプ大統領はイランのミサイルおよび無人機能力に厳しい制限を課し、さらには地域における抵抗枢軸への支援打ち切りにより、イランの地域的政策を根底から変更させようとしているのです。
この政策のもう1つの理由は、特に第2次トランプ政権における地域・世界情勢の変化にあります。トランプ氏は西アジア地域におけるイランの影響力に対抗しようとしており、経済的・政治的圧力、そして現時点ではイランへの軍事攻撃をちらつかせることで、イランに西アジアの抵抗組織への支援を断念させようとしています。この点で、米国は軍事的脅迫と制裁強化、特に石油輸出への深刻な障害を設けることで、イランの行動と政策を変えさせようとしているのです。
イランに対するこのダブルスタンダードな政策の影響は、特に外交、経済、安全保障関係の分野において顕著に見られます。トランプ大統領の最大限の圧力政策の一環として2018年に開始された経済的圧力と制裁により、イランの石油収入は減少し、経済問題が深刻化しました。トランプ大統領の狙いは、イラン国内の不満の扇動・増大、イラン国民への圧力強化、ひいてはイラン国内に動揺を生じさせることでした。もっとも、当然ながらイラン政府はこれらの圧力に対し、平和目的による核開発計画の強化・拡大、ミサイル実験の継続、そして防衛力の増強によって対応してきたのです。
その一方で、イランはトランプ大統領からの協議への誘いを受けながらも状況を注視し、緊張緩和のために、間接的ではあるものの対米交渉に応じる用意があると表明したこともありました。しかし、2025年にイランと米国の間で5回にわたる間接協議が行われた後、イランが6回目の協議を待機していた一方で、トランプ大統領は欺瞞的な政策の枠組みによりシオニスト政権イスラエルに対イラン攻撃のゴーサインを示し、米国はイランの核施設への爆撃により、この軍事侵攻に直接的に関与した形となりました。
現在、トランプ大統領と同政権当局者は、西アジアへの軍事装備の配備による公然とした対イラン軍事攻撃の示唆、そして当然ながらアメリカの掲げる条件と課題に基づく協議の要求、という二重の立場を常に取っています。一方でイランは、特に平和目的での核活動の分野における正当な権利を強調しつつ、この問題に関する公正かつ公平な枠組みでの交渉の可能性を強調する一方で、ミサイル能力や地域における抵抗軸への支援に関する協議は一切拒否しているのです。

