解説;トランプ氏の対イラン好戦主義に対する反対の新波:政治的な行き詰まりから燃料危機まで
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トランプ米大統領が対イラン戦争の泥沼に嵌り苦悶する中、ここ数日で2つの重要な動向によりこの軍事的挑発の真実がこれまで以上に明らかになっています。
(last modified 2026-10-03T10:25:30+00:00 )
10月 03, 2026 16:43 Asia/Tokyo
  • ドナルド・トランプ米大統領
    ドナルド・トランプ米大統領

トランプ米大統領が対イラン戦争の泥沼に嵌り苦悶する中、ここ数日で2つの重要な動向によりこの軍事的挑発の真実がこれまで以上に明らかになっています。

【ParsToday国際】この2つの動向は米国内の政界および、世論の双方で起きているものです。最近の世論調査で圧倒的多数の米国民が「この戦争におけるトランプ氏の行動は誤っている」と考えていることが判明している一方、燃料価格の急騰による危機によりホワイトハウスは軽油価格をコントロールすべくヨーロッパの戦略的備蓄に手を伸ばすという事態にまでに至っています。もっとも、この2つの動向は実は表裏一体といえるものです。トランプ氏の好戦的な行動は、アメリカの政界や世論で失敗したのみならず、全面的な一大経済危機へと発展し、それが今や同氏の選挙公約にも疑問を提起しています。

この点に関して、米上下両院の複数の民主党議員らは、トランプ氏による対イラン侵略戦争、及びそれが米国民に及ぼす経済的悪影響への批判を強め、戦争の打ち切り・停止を求めています。その例として、コネチカット州選出のクリス・マーフィー民主党上院議員は「X」に寄せたメッセージで「管理不行き届きも甚だしい惨憺たる対イラン戦争の費用は、天文学的な数字に至っている。このことはガソリン価格に如実に見て取れるが、戦争開始前と比べほぼ倍増していた軽油の価格上昇が、すべてのコストを押し上げている」とコメントしました。

また、メリーランド州選出のクリス・ヴァンホーレン民主党上院議員も、3隻目の空母および約1万人の部隊の新たな西アジア配備・派兵という報道に言及し、「大統領は依然として軍の犠牲者数を隠蔽しているが、今やイランでの違法かつ(必要ではない)選択的な戦争にさらに1万人を派兵している。 トランプ氏が来月戦争を再開すると言ったなら、その言葉は本当だ。議会は予算を打ち切るべきである」と述べています。

さらに、マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン民主党上院議員も「X」において「トランプ氏の対イラン戦争により住宅の購入費用がさらに吊り上がった」と投稿しました。

世論調査のデータは、イラン戦争に対するアメリカの世論を壊滅的なものとして描いています。米紙ニューヨーク・タイムズの世論調査によれば、アメリカ国民の64%は「自国が対イラン武力衝突に突入したのは誤りだった」と考えており、正しいと考える人の割合はわずか30%に留まっています。ロイター通信と世論調査会社イプソスの共同調査でも、アメリカ国民の3分の2(66%)が「トランプ大統領は戦争における米国の目的を明確に説明していない」と考えていることが明らかになりました。戦争に対するホワイトハウスの公式見解と一般市民の認識との間に見られるこの格差は、合法性の危機の明確な兆候だと言えます。

しかも、与党・共和党内でも分裂が生じていることは注目すべき事柄です。その例として、共和党支持者の3分の1は「トランプ氏は戦争の目的をはっきりさせなかった」と答えました。また別の調査では、戦争を「出費に見合う価値がある」と考えているのは共和党支持者の55%にとどまり、20%は「無価値である」と考え、24%は「確信できない」としました。これらの統計は、この戦争に直面しトランプ支持派の政治連合さえも揺らいでいることを裏づけています。

この反対に拍車をかけているのは、戦争が直接アメリカ国民の日常生活に及ぼしている影響です。ロイター/イプソスの調査によれば、国民63%が「ガソリン価格の上昇が家計に悪影響を及ぼした」と答えています。また、一般市民の4分の3は「トランプ政権には少なくとも、この価格上昇の部分的責任がある」と考えており、65%は共和党派を主な有責者だとみています。これらの数字は、戦争への反対が従来の党派対立を超えて包括的な経済的不満と化している理由を説明するものです。

トランプ氏は、2024年の選挙戦でアメリカ国民の支出削減を約束したものの、今やその約束を反故にした危機に直面しています。対イランの戦争開始以来、アメリカにおけるのディーゼル燃料(軽油)の平均価格は約70%も上昇しました。特に、ホルモズ海峡の閉鎖と世界の燃料供給網の混乱による価格上昇は、11月の中間選挙を前に政治問題として白熱化しています。

この点に関して、トランプ氏は今月1日、欧州諸国に軽油備蓄の解放を求める可能性があると発表しました。彼は記者団に対し「この事をやるかもしれない。彼らはディーゼル燃料をいくらか持っている」と語っています。また、自らが立ち上げたSNSのTruth Socialでのメッセージでは「ヨーロッパはすでに大量の重ディーゼル備蓄を放出することに同意しており、そのプロセス『直ちに』開始されるだろう」と主張しました。

この主張がなされたのは、アメリカからの強い圧力のもと、ヨーロッパ諸国が実際にこれに同意している時期です。複数の報道によれば、トランプ政権はドイツとフランスに対し、20日以内でのディーゼル燃料1億バレルの放出を要請しており、さもなければ米国のディーゼル燃料輸出の禁止に遭遇する可能性があるとされています。G7・先進7か国の輪番議長国を務めるフランスのエマニュエル・マクロン大統領はトランプ氏との会談後、今後4か月でG7が最大1億バレルを放出することを認めました。

しかし、ヨーロッパのこの措置は決して無条件ではありません。複数の報道によれば、ヨーロッパ諸国は交渉で、米国が一方的に軽油輸出を禁止してはならないという条件を提示しています。この条件付けは、ヨーロッパもトランプ氏の衝動的な政策を信用せず、欧州のエネルギー安全保障の盾とされる戦略的備蓄を保証なしに使い果たしたくないことを示しています。

トランプにとってこの状況をさらに難しくしているのは、戦争終結の明確なビジョンの欠如です。トランプ氏は口頭では、戦争は「何らかの道により迅速に終結する」と述べ、その後「石油価格は急降下するだろう」と述べました。しかし現実には、この窮地からすぐに抜け出す兆しは見られません。実際に、複数のアナリストも「戦争終結後も、以前の水準への急速な回復は難しい」と警告しています。

トランプ氏は戦争を正当化しようと、事実無根の経済的主張を繰り返しており、イランのインフレ率が「ほぼ312%」であり、同国の通貨は「価値を失った」と主張しました。また、米海軍が「封鎖」を敷き、「ホルモズ海峡を渡れる唯一の部隊」であるとも公言しました。しかし、こうした主張の一方で、独立した統計や証拠資料はこの重要な水路に対するアメリカの支配能力について異なる見方を示しています。

これらすべての動向から浮かび上がるのは、シオニスト政権イスラエルの幻想と約束に基づくアメリカの軍事的冒険の姿です。しかも、それは掲げた目標を達成できなかった上に、アメリカ自身にとっての経済・政治的危機と化しているのです。

 


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