アメリカ大統領のTPP承認に向けた努力
アメリカのオバマ大統領が、16日金曜、ホワイトハウスで、共和党のケーシック・オハイオ州知事と会談し、TPP・環太平洋経済連携協定の最終的な承認に向け、協力を要請しました。
ミールターヘル解説員
ケーシック氏は、オバマ大統領の政策の反対者の一人と見なされています。ケーシック氏は、16日、ウォールストリートジャーナル紙に寄稿した文書の中で、「アメリカがこの協定を承認しなければ、東南アジア諸国はロシアや中国に傾くことになるだろう」としました。
アナリストによれば、オバマ大統領は残る任期4ヶ月で、環太平洋地域の12カ国が署名したTPPの最終的な承認を目指しています。オバマ大統領とケーシック氏の異例の会談は、アメリカ政府が共和党の幹部を説得し、TPP法案を11月の大統領選挙前の議会で承認させようとしていることを示しています。
大統領選挙の候補者らは、TPPを非難しています。共和党は昔から自由貿易協定を支持してきましたが、トランプ氏は予備選で、TPPはアメリカの失業を増加させると主張しています。トランプ氏は当選したら、TPPを破棄すると脅しています。一方の民主党候補のクリントン氏も、労働組合や環境保護団体が支持していないため、TPPには賛同しない、と表明しています。
こうして、オバマ大統領の努力にもかかわらず、年内の議会でのTPP法案の承認に向けた見通しはたっておらず、この問題は議会の共和党関係者も認めています。共和党のミッチ・マコーネル上院議員は、TPPは今年票決にかけられないだろうと述べています。またポール・ライアン下院議員も、TPPの承認はほとんど望めないと語っています。オバマ大統領が自分が望むTPP承認を急ぐ理由は、中国がアジアでの貿易体制の拡大に向け努力していることを危険視したもので、オバマ大統領は、これは確実にアメリカの企業の利益にはならないとしています。
オバマ大統領は2015年6月9日、アメリカの貿易振興に関する法案に署名しました。この法案は多くの議論を経て、議会の障壁を乗り越えました。オバマ大統領は自由貿易協定の署名は、他国との競争における転換点になるとし、その役割は世界におけるアメリカの指導力を復活する上で重要だとしています。この法は、環太平洋と環大西洋の二つの部分から構成されています。
この自由貿易協定は、アメリカのアジア太平洋政策の重要な部分と見なされており、その目的はこの地域における中国の経済、政治力をけん制することであり、アメリカと11カ国の貿易関係を円滑にするものです。オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、アメリカ、ベトナム、日本がTPPに参加しています。TPPは2016年2月、アメリカとアジア太平洋の11カ国の間で締結されました。5年間の話し合いを経て署名されたこの協定の目的は、世界経済の40%を占める12カ国が参加する、世界最大の自由貿易区の創設となっています。