富裕国による新型コロナワクチンの買い占めに、監視団体が警告
新型コロナウイルスのワクチン開発が世界に希望をもたらす一方で、富裕国が有力なワクチンの大半を買い占め、途上国がワクチンを入手できなくなるとの懸念が浮上しています。
CNNが、英ロンドンから報じたところによりますと、国際NGOのオックスファムやアムネスティ・インターナショナル、グローバル・ジャスティス・ナウなどで構成する監視団体、ピープルズ・ワクチン・アライアンスは9日水曜、こうした現状に警告を発しました。
これらの団体によりますと、富裕国は国民全員が何回も接種できるほどのワクチンを確保している一方、67カ国が来年末までに人口の1割程度しか接種できないと予想されています。
しかも、世界の総人口の14%に留まる富裕国だけで有力なワクチンの半分以上が買い占められているということです。
既に英国では他国に先駆けて一般市民へのワクチン接種が始まっているほか、カナダは主要なワクチンが全て承認された場合、全国民が5回接種できる量をすでに購入済みであり、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したこのワクチンの96%、同じく有効とされる米モデルナのワクチンも全て富裕国が確保しています。
これに対し、67カ国がワクチン獲得競争から締め出される危険性が高いとされ、このうちケニア、ミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、ウクライナの5カ国ではこれまでに計150万人のコロナ感染が確認されています。
先述のピープルズ・ワクチン・アライアンスは、製薬会社に技術や特許をWHO世界保健機関と共有し、各国政府に途上国への供給を促すよう呼び掛けています。
オックスファムのアンナ・マリオット氏は「住む国や個人の経済力のせいで接種を受けられないということがあってはならない」「だが何か劇的な変化が起きない限り、世界中で何十億もの人々は今後何年もの間、安全で有効なワクチンを手にすることができないだろう」として深刻な現状を訴えています。
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