視点
成果なく終了したG20サミット
イタリア・ローマで開催されていたG20・主要20カ国地域首脳会議(G20サミット)の参加者らが31日日曜、この会議の終了に際して、地球温暖化を摂氏1.5度に制限するための効果的な対策を強調することで合意しました。しかし、この合意にもかかわらず、それを実施するための真剣な取り組みはほとんど行われていません。
この終了声明では、温室効果ガスの排出を抑制する方法に関する現在の国家単位の計画が、必要に応じて強化されるべきであると述べられています。しかし同時に、この声明は、炭素排出ゼロという目標を達成するための正確な期日である2050年については、特に言及していません。
米国、中国、ロシア、ブラジル、インド、ドイツを含むG20は、世界の温室効果ガス排出量の約80%を占めています。中国は2060年を目標年として設定し、インドやロシアなど、温室効果ガス排出の責任のある他の諸国は2050年の目標達成を約束しませんでした。これにより、地球温暖化対策への効果的な行動をとるという希望はより色あわせた形となっています。
現在、英グラスゴーで開催されているCOP26国連気候サミットに注目が集まっています。ほとんどのG20首脳は、ローマからグラスゴーに直行する見込みで、この気候変動サミットでは地球温暖化に対処するための具体的かつ効果的な決定が下される可能性があります。
驚愕すべきなのは、バイデン米大統領は、グラスゴーでの国連気候サミット開幕を控えた31日日曜、気候変動危機に関するG20サミットの行動や成果が芳しくないことに不満を表明した政府首脳の1人だったことです。バイデン大統領は、気候変動に関する米国の公約に関して、自らの政権が再生可能エネルギーへの9000億ドルの充当を視野に入れ、米議会で近く、これに関する採決が行われると主張していました。バイデン大統領のこうした主張の一方で、米国は、地球に壊滅的な影響を与えてきた温室効果ガスの最大の排出国であり、地球温暖化および気候変動に最も大きく関与しています。トランプ前米大統領はそもそも、気候変動という現象自体を否定しており、2020年11月には米国を気候変動対策に関するパリ協定から正式に脱退させました。また彼は、国連が気候変動の影響とこれに関するモデリング手法を誇張しているとするとともに、パリ協定はアメリカの企業や納税者に対し新たな経済上の責務を押し付けるものだ、との見方を示しています。
イランの政治評論家アボルファズル・ゾフレヴァンド氏は、パリ協定に関するトランプ氏の立場について、「アメリカは、平和や安全保障、生活環境に対する脅威だ」とコメントしました。しかしトランプ氏の主張とは裏腹に、その米国自身もカリフォルニア州など西部他州の森林における広範囲な山火事の頻発、大規模な洪水、前例のない干ばつなど、気候変動が引き起こす悲惨な結果に直面しています。バイデン氏は2021年1月に就任した後、米国のパリ協定への復帰を命じました。しかし、これはアメリカでの大気汚染の削減に向けた根本的かつ重要な変化をもたらすことはありませんでした。
科学者らは、地球温暖化の兆候と結果が激化しているとして警告しています。これは地球上の生物にとって深刻な脅威に他なりません。地球温暖化は近い将来、氷河の溶解、洪水、深刻な気候変動につながる可能性があります。このため、地球温暖化の深刻化の問題は、国連の主要な関心事の1つになっているのです。
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