米ニュージャージー州で、同じ高校の出身者100人超が脳腫瘍に 原爆開発跡地が影響?
米ニュージャージー州で、1975年以降に同じ高校の出身者100人超が脳腫瘍を発症していたことがわかり、全米で様々な憶測を呼んでいます。
この高校は、ニュージャージー州ウッドブリッジにあるコロニア高校で、1975年からの40年間で、この高校の元生徒や教職員ら合わせて100人超が脳腫瘍を発症していたことがわかっています。
米CBSニュースは、この問題を調査している環境学者のアル・ルピアーノさんを取材。ルピアーノさん自身も1989年にコロニア高校を卒業しており、今から約20年前に発症、今もいくつかの症状に苦しんでいます。
昨年8月、ルピアーノさんの妹が初期の脳腫瘍と診断されました。しかし、その後ステージ4の神経膠腫だったことがわかります。そして、その知らせから数時間後、ルピアーノさんの妻も初期の脳腫瘍を発症していることがわかったのです。
ルピアーノさんの妹と妻も、ともにコロニア高校の卒業生でした。
ルピアーノさんの妹は、その後1カ月足らずで亡くなりました。姉の死を受け、ルピアーノさんはフェイスブック上でコロニア高校の卒業生に対し、同じような症状を患ったことがあれば知らせてほしいと呼びかけました。
すると、次々と同じような報告が寄せられ、「3人が5人、5人が7人、7人が15人になった」とルピアーノさんは振り返ります。先月21日時点で、ルピアーノさんの集計で合わせて115人のコロニア高校卒業生および教職員が脳腫瘍を発症していたことがわかっています。
神経膠腫の原因は今も詳しくわかっていませんが、専門家の話では、年齢、遺伝、放射線被ばくなどで発症する可能性があるということです。しかし、神経膠腫の発症割合は、通常100万人あたりで30人と言われ、今回のコロニア高校のケースは異常な高さです。
ウッドブリッジのマコーミック市長は、CBSの取材に対し、コロニア高校は1967年に設立され、それまでは木が生えた手つかずの自然の土地だったとし、「学校建設まで何もここにはなかったことを考えると、建設作業中に運び込まれた何かが原因となっている可能性がある」と述べました。しかし、当時の記録は何も残っていないということです。
一方、コロニア高校から西に20キロほど離れた所には、第二次大戦中に当時のアメリカ政府が進めていた原爆開発計画「マンハッタン計画」により排出されたウランの処分場があり、この付近の土が同校建設の際に運び込まれたのではないかと疑う声も出ています。
ウッドブリッジ市やニュージャージー州の保健当局によると、コロニア高校敷地の土壌の放射線検査を含む各種調査が進められ、解析が行わているということです。