全米で粉ミルク不足が深刻化、購入数制限・配給制に

全米の店舗でここ数カ月、粉ミルクが品不足のため購入制限がかけられ、配給制となっています。

CNNなど、アメリカの報道各社によりますと、米ドラッグストアチェーン大手のＣＶＳとウォルグリーンは、全国で粉ミルクの購入を１回につき３つまでに制限していることを認めました。

また、店舗での購入には制限を設けていませんが、小売り大手ターゲットはオンライン購入の場合、粉ミルクの購入を顧客１人当たり４つに制限しています。

アメリカを代表する薬局チェーンのウォルグリーンブーツのスティーブ・コーエン渉外担当は、「需要の増加と供給面でのさまざまな問題のため、小児用粉ミルクに全米で供給制限がかけられている｣と語りました。

データセンブリー研究所によりますと、粉ミルクの欠品率は、昨年前半は２〜８％の間で推移していたのが、７月から急上昇し始め、昨年１１月から今年４月上旬にかけては、欠品率が３１％に跳ね上がったということです。

また、欠品率は今年４月のわずか３週間でさらに９ポイント上昇し、現在は４０％になっていることが統計で明らかになっています。アイオワ、サウスダコタ、ノースダコタ、ミズーリ、テキサス、テネシーの６州では、４月２４日からの１週間で粉ミルクの半分以上が完売したということです。

また、７つの州では４月上旬時点で、粉ミルク製品のうち４０〜５０％が品切れとなっていましたが、現在では２６州で供給不足となっています。

 メーカーはフル稼働で、可能な限り多くの粉ミルクを製造中だとしていますが、それでも現在の需要を十分に満たせていないのが現状です。

データセンブリーのベン・ライヒ最高経営責任者（ＣＥＯ）は、「この問題はサプライチェーン（供給網）問題、製品リコール（回収）、歴史的なインフレによってさらに深刻化している。粉ミルクは今後も市場で最も影響を受ける製品の一つだと予想される」と語りました。

粉ミルク不足は、FDA米食品医薬品局がミシガン州スタージスにある粉ミルク大手メーカー、アボット・ニュートリションの施設を閉鎖したことでさらに悪化しています。

ＦＤＡは２月、サルモネラ菌など細菌感染の恐れがあるとして、同社製の粉ミルク３種のリコールを発表し、対象製品の特定ロットを購入または使用しないよう呼び掛けていました。

なお、米国内でのこうした粉ミルク不足問題に関して、トランプ前米大統領の長男 ドナルド･トランプ・ジュニア氏（42）は10日火曜、ツイッターで、「現在、皆さんが粉ミルクを見つけられない中、今や米議会は400億ドルの対ウクライナ支援送付に賛成票を投じている。変化のために『アメリカ第1』を優先させよう」と書き込みました。

米国下院は10日、400億ドル相当の対ウクライナ追加支援案を可決しています。

ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。