WHOが、研究所からのコロナ流出調査継続を表明
WHO世界保健機関が、新型コロナウイルスのパンデミックが研究所のミスで外部へ流出し人間へ感染したことにより起きた可能性について、さらなる調査が行われていることを明らかにしました。
新型コロナウイルスはこれまでに、世界中で630万人以上の死亡者を出しており、これを受けた行動制限実施や経済状況の悪化は、多くの人々の生活を困難に陥れました。
同ウイルスの感染拡大において(生物)研究所でのミスに関連があったかどうかに関しWHOが取る立場は、パンデミックの発生元についてこの国際機関が最初に行った評価とは明らかな方向転換が見られます。過去には、中国の研究所からのウイルス流出論を否定もしくは無視するというWHOの姿勢は、専門家らによる批判を受けていました。
昨年中国を訪れたWHOの調査団は、中国国内での集中視察を行い、同国武漢にある研究所から新型コロナウイルスが流出し人間に感染した可能性は「非常に低い」と結論付けています。
多くの学者は、このウイルスはコウモリなどの動物から人間に感染したものと推測しています。
ユーロニュースが10日金曜、報じたところによりますと、WHOの専門家グループは報告書の中で、パンデミックがどのようにはじまったかを示しうる「一部の重要なデータ」がまだ明確にされてないと指摘しました。
動物の病気の感染源を特定するには通常、調査に何年もかける必要があります。新型コロナウイルスと同類の呼吸器疾患であるSARS重症急性呼吸器症候群は、コウモリの一種から人間に感染したと特定されるまでに数十年かかりました。
WHOは一部ウイルスの研究所内での感染例に触れて、「簡単に研究所からの流出の可能性を無視することはできない」としています。
一方、中国外務省の趙立堅報道官は、アメリカにある「フォートディートリッヒ米軍研究所やノースカロライナ大学研究所などの非常に疑わしい研究所」での調査を求めています。中国当局はまた、「米国は、そのような研究所にあった新型コロナウイルスをバイオ兵器として拡散させようとしていた」としています。
フォートディートリッヒ研究所は、メリーランド州の米軍基地にあり、1943年から1969年まではアメリカのバイオ兵器計画の中心となっていました。それ以降も、同国のほとんどのバイオ防衛計画がこの場所で実施されています。