アムネスティが、難民に対する西側の対応を批判
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが、世界難民の日にあわせた声明で、一部の国、特にヨーロッパ諸国によるアフガニスタン難民の扱いが暴力的で恐ろしいものであるとしました。
イルナー通信によりますと、アムネスティ・インターナショナルは6月20日の世界難民の日にあわせて、アフガニスタン難民をはじめとした世界中の難民の厳しい状況について言及し、さらに西側諸国、特にギリシャの難民対応について批判しました。
一方、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチも、現時点でアフガニスタン人600万人以上が、戦争、暴力、貧困によって故郷を追われて移住していると発表しました。
これらの団体によれば、このような難民は国際法に基づく権利を享受できておらず、依然として暴力や不適切な対応に直面しています。
また、移民に関する国際規定に強調されている責任を諸国が果たしていないことを非難し、アフガニスタン難民の強制送還の即時停止と、彼らが希望する国へ向かえる安全なルートの開設を求めました。
ヨーロッパ諸国を目指すアフガニスタン人の大半は、ギリシャなどに向かうため主にトルコ経由のルートを取っています。
一方、IOM国際移住機関の報告では、トルコは過去6か月間で、チャーター便を79回飛ばして1万8000人以上のアフガニスタン難民を強制送還しました。
各人権団体は、ギリシャの沿岸警備隊と国境警備隊が頻繁に移民船を自国海域からトルコ側に追い帰していると考えています。トルコでの難民の状況も、惨憺たるものであると報告されています。
これに関連して、ヒューマン・ライツ・ウォッチの幹部であるビル・フレリック氏は、古い歴史を持つヨーロッパの国たるギリシャが、アフガニスタン難民を差別的に扱ったことについて、「ギリシャは、ウクライナ人を『本当の難民』として歓迎しているが、酷似する国内の暴力的状況から逃げてきたアフガニスタン人のことは、酷薄に追い帰している」と述べました。
続けて、「これは、平等や法治、寛容というヨーロッパの主張する価値観を自らあざけるような二重基準だ」と指摘しました。
この発言は、EU高官がギリシャの国境管理措置を「EUの盾」と呼んで賞賛する中で行われたものです。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの上級研究員で難民の権利の専門家、ナディア・ハードマン氏も、EU高官の難民対応に抗議して、「EUは、さまざまな理由でヨーロッパに逃げてくる難民や移民を助ける代わりに、ギリシャ警察が彼らを残忍に扱うことを、高く評価している」としています。
アフガニスタン難民の危機は、この数十年で世界で最も長く続く最大の移民問題です。同国では、2021年夏にタリバンが政権を再度掌握した後に新しい移民の波が起こり、若い世代が故郷を離れて移住を余儀なくされています。