2月 22, 2016 22:23 Asia/Tokyo
  • イランの選挙(3) ~選挙における政党の役割~

第10期イラン議会選挙、そして第5期専門家会議選挙が、2月26日に実施されます。

通常、どの選挙においても、その競争の形成と結果において多くの要素が役割を果たしていますが、今日、何よりも選挙に影響する要素として各国が注目しているのは、選挙の過程における政党の役割です。今夜の番組では、イランの選挙における政党や政治グループの役割についてお話しすることにいたしましょう。

多くの体制において、議会は選挙や国民の直接投票によって形作られていますが、一部の選挙では、政党が選挙の行方を主に決定するものとなっています。政党は、社会に広まる思想の流れを組織化したものであり、政治や社会、経済問題に対する考え方、政治的傾向を示すグループです。

全般に、イランの人々が政党について有している経験は、多くの注釈を伴います。イランの選挙における政党の役割は、注目に値するほど機能しておらず、多くの政党の活動が期間限定で行われています。一部の政党は、その活動においてイラン社会のニーズを満たすほどの人々の信用を得ることができていません。こうしたことは一種の政治分野における超党派や無所属の傾向につながっています。おそらくこれにより、政党はイランの政界や選挙において注目されてこなかったのでしょう。

いずれにせよ、法に従い、政党の活動はイラン国会で承認されており、イランでは政党、団体、協会、組織といった政治グループは、政綱や規約を有し、特定の理念や政治的方針を持つ人々によるグループとして結成されています。

多くの国では、政党は選挙で、市民に政策を明示し、票を獲得して当選した後、政府や議会を結成し、互いの行動を監視しながら、国を運営していきます。こうした中、各政党に存在する多様性が二大政党の中に限定されている国もあります。この場合、人々は以前の情報や個人の知名度、政党の政策を見て、政党やそれに所属する候補者に票を投じます。

この種の体制、いわゆる二大政党制をとっているのは、労働党と保守党のイギリス、共和党と民主党のアメリカです。アメリカの選挙で慣例となっているように、2つの政党は自らの候補者に対する国民の支持を得るために、あらかじめ決定された過程において、彼らを世論調査にかけ、最終的に候補者間の競争を経て、それぞれが一人の候補者を決定します。

政党の様々な活動方法を比較してみると、二大政党制とは異なり、複数政党制をとっているシステムでは、選挙での競争が増します。これは政策や方針の多様性に加えて、二大政党制よりも更なる競争が生じるからです。こうした競争は、人々に選挙参加の動機を生じさせる上で大きな役割を果たします。とはいえ、経験が示しているように、政党システムの成功は社会によって異なります。欧米の社会で人々のニーズに応えるとされている二大政党制が、他の国で成功するとは限りません。

また、政党が政府と議会を直接形作る国もあります。この方法は常に政府が一政党の傾向に依存する危険性、つまり一党独裁を生じさせることになり、多くの場合、政党を政府の監視などの義務から引き離します。このような政党は権力の座につくことを組織の活動の目的の一つとしており、これは実際、選挙の自由な流れを破壊するための要因に変わる可能性があります。なぜなら権力につくための主な条件が、人々の票によって、競争の中で完全に合法な形で行われることだからです。

政党がどう選ばれるかは、政党の行動、さらには社会における政党の権限によります。一部の国では、政党と独立系の政治グループの間の連立が存在し、どの政党グループが選ばれるかは人々の彼らへの信頼度によります。

1979年にイスラム革命が勝利した後、ベヘシュティ師といった一部の革命の要人の訴えにより、イスラム共和党が結成されました。1990年代には改革派政府が台頭することで、政治や社会の発展への注目とともに、政党が一つのニーズとして、明らかな形で追求されました。この流れにおいて、様々な思想と傾向を持った政治家が、政党を結成し、組織の活動を活発化させることができるようになりました。一部の政党もまた、ある程度、社会の各階層の信頼を手にし、人々と政治思想に基づいた関係を築くことに成功しました。

専門家は、社会における既存政党の活動の拡大の傍らで、複数の政党が結成されれば、政党間の競争が激化すると考えています。イランでは多くの政治グループが選挙とともに一時的に存在をアピールしますが、政治的傾向や目的を標榜することで、選挙で大きな存在感を示す政治グループもいます。

現在イランでは、保守派と改革派という枠内で政治グループが選挙戦を展開しています。この二つのグループは、体制を支持し、イスラム革命の基準や理念、憲法を守るという点では一致していますが、政治、経済、社会的な戦略においては見解が異なっています。

イランの政治グループの方針は、社会問題への見方や彼らの傾向に基づいて、また外交政策において判断することができるでしょう。イランには、保守派の17の政治グループで結成された、「イマームと最高指導者の方針追従者戦線」があります。また反王政活動の経験を持つイスラム連合党といった政党は、革命前から活動しています。さらに「闘う聖職者協会」というグループもイスラム革命のピークにおいてベヘシュティ師、モタッハリー師、モファッテ師、バーホナル師、ハーシェミー・ラフサンジャーニー師といった著名な聖職者の尽力で結成されました。

「イスラム革命抵抗戦線」というグループはおよそ4年前に、アフマディネジャード前政権の一部メンバーによって結成され、保守派連合前線を自称しています。また「参加戦線」は第7期大統領選挙前に結成されましたが、第10期大統領選挙後、2009年の暴動後に解体し、活動の継続は違法とされました。

この他にも、中庸発展党、建設の奉仕者党といった政党も、選挙に出てきています。これらの政党の他、様々な独立系のグループも存在します。いずれにせよ、選挙に参加する政党はどれも、はっきりとした計画や目的を有しています。

選挙の季節には多くの場合、政治グループがその政治的な地位や信用に基づいて、計画や候補者のリストを提示し、有権者の支持を得て、議席を獲得しようとします。このため通常、選挙と政党の間には緊密な結びつきが存在します。政党は選挙の候補者を知らせ、人々を選挙に動員する上で、効果的な役割を有しているのです。

様々な計画を持った様々な政党の存在は、異なった考え方を持つ人々の選挙への参加を保証します。人々は選挙に参加することで、いずれの場合においても、政治体制の形成における自らの役割を確かなものにし、国の運営に自らも参加していると自覚します。その結果、自国の政治の将来に対してさらなる責任感を持つことになるのです。