3月 28, 2016 22:43 Asia/Tokyo
  • 1394年のイラン(2)

核合意の実施の後、イランに対する金融・経済制裁が解除されたことで、イランは経済取引の新たな段階に入りました。


これらの取引は、国内の経済問題を減らす上での歩みを伴うものとなっています。


 


これらの措置は、イラン暦の昨年、国内の生産強化を目的にした抵抗経済の枠組みの中で注目され、イランの経済の基盤を強化し、発展の基盤となるよう、最高指導者によって強調されました。


 


 


核合意の実施は、イランが周辺国や地域外の国との経済関係を強化するための土台を築きました。昨年、イランと6か国の合意の枠内で、制裁の時代が終わり、核の合意によって、イランと多くの国々との経済関係が再開しました。昨年、ヨーロッパ、アジア、アフリカの国々の経済・商業代表団がイランを訪問しました。この中で、テヘランで、ガス輸出国フォーラムの首脳会議が開催され、エネルギー協力に関するイランとヨーロッパ諸国の関係について話し合うための機会が整えられました。


 


昨年、ECO経済協力機構の地域計画評議会の会合が、加盟国の代表が出席する中、この機構のテヘランの事務局で開催されました。イランは、ECOは地域諸国に適した機会を作ると考えています。これに基づき、イランはテヘランでの会合で、ECO加盟国の地域貿易の拡大への支援を表明しました。


 


ECOに加盟する地域10か国は、44000万人の人口を擁し、共通の経済利益と文化を有しています。こうした中、政治評論家によれば、協力の強化には、それを拡大するための新たな計画が必要になっています。ECOの地域計画評議会は、これに関して重要な役割を担っています。この機構は、20年の活動の中で、貿易、トランジット、農業、人間開発、教育、文化のさまざまな分野における地域協力の新たなモデルを作り出し、イランはこの計画の実施をけん引しました。こうした努力や計画により、イランの優れた立場が明らかになり、経済分野でも前進が見られました。


 


 


イラン暦の昨年、原油価格が大幅に下落しました。30ドル以下という原油価格は、産油国を深刻な問題に直面させました。イラン経済に原油が占める割合は、この20年、平均およそ16%でした。そのため、原油価格の下落は、イラン経済の活性化に影響を及ぼしました。こうした中、イランの経済状況は、制裁の影響を減らすための以前の準備と、原油価格の衝撃に対する抵抗力により、昨年、他の産油国ほどは悪化しませんでした。原油の輸出はイランの財政に大きな影響を与えるため、政府の財政の調整は、原油の輸出による外貨収入への依存を減らすものとなりました。


 


イランのローハーニー大統領は、昨年、今年度の予算における石油への依存は25%にとどまるが、政府は原油に代わる収入のために、統一した計画を立てるべきだと語りました。そのため、政府の今年の経済計画の優先事項には、昨年提示された抵抗経済が据えられました。これについて、政府は、鉱物資源の輸出拡大と、この部門の収入の15億から60億への増加を目的に、10か年の戦略計画を検討しています。


 


 


イランのタイエブニヤー経済財政大臣は、昨年、短期間の経済政策の枠内で、政府の経済計画案を提示することを明らかにし、「政府の経済政策は、制裁解除後の時代に合わせたものとなる」と述べました。タイエブニヤー大臣はさらに、「政府と政府の経済部門は、制裁解除後の政策から離れないことを強調する」と語りました。イラン国家計画管理機構のノウバフト長官は、「今期政府は、この経済目標を実現するため、2つの金融政策から措置を講じており、政府の新たな経済政策は、昨年から始まった停滞を脱出するための政策を継続することだ」と語りました。ノウバフト長官はさらに、「抵抗の経済の全体政策により、地域や世界との外交関係の改善から、あらゆる可能性を活用し、輸出を増加するべきだ」と語りました。また、「経済成長のため今期政府の見解の枠組みは、生産の障害を取り除くための法と抵抗経済のロードマップである」と強調しました。


 


ローハーニー政権の経済チームは、経済成長と停滞脱出のため、国内外の投資の誘致、雇用の創出、非石油製品の輸出の拡大という3つの目標を据えています。市場における経済成長への集中と生産への支援における金融政策の強化も、停滞を抜け出すために政府が実施してきた措置となっています。


 


タイエブニヤー経済財政大臣は、「需要の現象と市場の停滞は、原油価格の下落によるものだ」としながら、イランの経済は、近い将来、完全に停滞を抜け出し、経済成長を遂げるだろうとしています。専門家らは、もし政府が、第6次計画の全体政策によって石油への依存を減らすことができれば、それは実際、大きな歩みになるが、国民に支払われる直接の援助金が政府の収入の大部分を占めているため、イランの経済の根幹から石油を切り離すことは容易なことではなく、中・長期的な計画が必要になるとしています。


 


ローハーニー政権は、昨年、インフレ率の抑制に成功しました。様々な統計によれば、過去3年間、イランのインフレ率は40%でしたが、現在は10%以下にまで抑制されています。とはいえ、インフレ率の抑制は、昨年の中央銀行と政府による金融政策によるもので、それは経済の停滞にも影響しました。イラン経済は、雇用の創出、富の生産の拡大、停滞の脱出のための多くの利点や可能性を利用するために、金融市場の活性化、投資の成長、生産への支援、金融政策の改善を必要としています。これらの目標は、今年度の経済計画を実施する上でのローハーニー政権の優先事項となっています。


 


イランのジャハーンギーリー第一副大統領は、これについて、「この政策を実現するためには、国内外のすべての可能性を利用すべきだ」としています。ジャハーンギーリー第一副大統領は、「抵抗の経済は、制裁解除後の国家の経済において効果を発揮するものになりえ、政府はその実施を決意している」と強調しています。


 


 


この他、ローハーニー政権は昨年、南パールス・ガス田の各フェーズの実施を加速させました。イラン南部ブーシェフル州のアサルーエにある南パールス・ガス田のフェーズ1516は、昨年の終わりにイラン大統領の立ち会いのもと、稼働を開始しました。これらの開発は、2007年初めに始まりました。このプロジェクトへの投資額は60億ドルとなり、そのうちの40億ドルが精製所に、20億ドルは掘削やパイプラインなどに費やされました。


 


フェーズ1516の建設のすべての段階は、イランの専門家や管理者、労働者によって実施されました。このプロジェクトの目的は、日量5000万立法メートルを超える無硫ガソリン、400トンの硫黄、75000バレルの液体ガス、年間100万トンの液化ガス、100万トンのエタンを生産することです。この2つのフェーズは、原油価格を1バレル50ドルとして計算すると、一日あたり1700万ドルから2000万ドル、年間60億ドルの外貨収入をもたらします。ローハーニー大統領は、この2つのフェーズの稼動開始式で演説し、「今後2年以内に南パールスのすべてのフェーズが完成する」と語りました。


 


イランは世界最大の天然ガスの埋蔵量を誇り、世界のガス貿易の中心地となりうる地位にあります。ウォールストリートジャーナルは、対イラン制裁の解除により、イラン経済のさまざまな部門への外国投資と成長が見られるだろうと予想しています。イランは、世界の原油埋蔵量の9%を占めていますが、現在の生産量は、世界の生産量のわずか4%となっています。ユーロニュースは報告の中で、「イランに対する国際的な制裁が解除された今、イランは外国投資をひきつける国となっている」としました。


 


この中で、昨年の後半、イランで石油化学産業国際会議が開催されました。この会議では、350社を超えるイランの企業の他、オーストラリア、アゼルバイジャン、ベルギー、カナダ、中国、フランス、イギリス、ドイツ、オランダ、カタール、ロシア、韓国、トルコ、インド、イギリス、アメリカ、スペインなど、世界25カ国以上の企業が参加しました。


 


イランのザンゲネ石油大臣は、イラン石油化学産業国際会議で、イランは地域のエネルギーの中心地だとし、石油化学産業の発展と生産量、この分野の製品にふれ、「石油化学産業におけるイランの政策は、この分野の国際貿易に参入することだ」と語りました。イラン石油省は昨年、この産業において大きな飛躍を計画し、それにより、新しい年には、計画に基づき、イランの石油化学製品を700億ドルまで増加しようとしています。


 


イランのザリーフ外務大臣は、イランの新しい状況は、イランのイメージを壊そうとする時代の終点だとしています。ザリーフ大臣は一方で、「現在、核合意を受け、経済状況を最高の形で導き、世界経済を我々と結びつけ、他国が我々に制裁を行使することができないような状況にすべきだ」と強調しました。さらに、「これは抵抗経済政策の完全な実施によって可能である」と語りました。