1394年のイラン(3) 選挙への国民の参加
昨年末のイランの出来事の一つが、議会選挙と専門家会議選挙という2つの選挙の実施でした。
これらの選挙は、政界やメディアの注目を集め、多くのメディアが、この出来事を様々な角度から分析しました。
今回はこの選挙についてお話しすることにいたしましょう。
イラン国民は、2月26日、政治的な見識を持って投票所を訪れました。この選挙の結果は、イランにおける選挙がしかるべき地位を確保していることを示しました。国家の政治的な将来を決定する上での国民の票の役割は否定できないものです。これは、イランのイスラム体制の誇るべき成果のひとつです。
2月26日の選挙では、様々な見解や傾向を持つ人々が競い合いました。一部の人々は、改革派と保守派の候補者の数のバランスが取れていないとしていましたが、選ばれた人々は、一つのグループや政党に属する人々ではありません。この点で、この2つの選挙の結果は、投票する側にとっても、また選ばれる側にとっても予想外のものでした。
次期国会は、今回の選挙の結果、保守派、改革派、穏健派と無所属の3つから成る国会になるでしょう。議会選挙で選ばれた人々を見ると、この3つのグループがほぼ同じ数で存在しますが、決選投票で、そのうちの一つが他を上回ることになります。これについて詳しく見てみると、次期国会では、この3つのグループのそれぞれが30から35議席を獲得し、他を上回るものはありません。多くの国民、特に大都市の人々は、保守派と改革派の候補者のリストを見て票を投じましたが、次期国会は、改革派と保守派に2極化するのではなく、無所属と穏健派の候補者も見られています。
2月26日の選挙の開放された雰囲気により、人々はそれぞれの基準に沿って票を投じました。候補者の選挙公約は、国民の根本的な問題と見なされる失業や停滞の解消など、経済問題に集中し、これに関する見解の提示が、選挙運動に見られる共通点でした。実際、この問題の解決は、次期国会の優先事項になるでしょう。
次期国会は、第6期開発計画の検討によって始動することになります。国会は、憲法により、法の制定と様々な問題の監視という2つの重要な責務を負っています。憲法第59条により、国会はイランにおける最も重要な決定機関とされています。専門家会議も、イスラム体制の重要な柱のひとつで、最高指導者の任命と、その条件の保持に対する監視という2つの重要な責務を負っています。
この選挙で注目に値する点は、どの世論調査も、選挙の結果を決定的な形で示さなかったことでした。この選挙では、改革派と保守派と呼ばれる政治的なグループが競争を展開しました。この2つの主要な流れは、体制の信条的な基盤や原則、イスラム革命と憲法の理念や法の遵守といった点で共通していますが、政治、経済、社会の戦略に対する見方が異なっています。また、その他、穏健発展党や建設党などの別の政党、無所属の独立派も選挙に参加しました。
当選した議員のうち、67人は現職です。残りの現在の議員は、当選しなかったか、決選投票に進みました。226議席が決定し、64人の候補者がまもなく行われる決選投票に進み、国会の現在の構成内容の70%が変更しました。
イランのラフマーニーファズリー内務大臣は、この選挙の結果を分析する中で、バーチャル空間におけるメディアの役割を、今回の選挙の一つの現象として挙げ、「この現象が国民の考えに影響を与えた」と語りました。さらに、「様々な傾向、社会的な見方、集団の構造が、票に影響を及ぼした」と述べました。ラフマーニーファズリー内務大臣は、国民の62%が参加したことに触れ、議会選挙と専門家会議選挙への参加率はほぼ同等だったとし、「今回の専門家会議選挙は前回に比べて盛り上がった」と述べました。さらに、選挙の健全性、平穏な雰囲気、国民の満足、法の遵守は、護憲評議会と内務省の協力によるものだとし、「監視と実施のアプローチにおいて、護憲評議会と非常に良好な協力ができた。それは見解の対立がなかったことを示すものではないが、この対立を、信頼と法によって解決できた。護憲評議会による選挙結果の承認後、内務省は議会選挙の決選投票をイラン暦新年の半ばに実施する」と述べました。
第10期議会選挙には全部で1万2000人が立候補しました。この数は以前に比べて大幅に増えており、そのため、内務省と護憲評議会による候補者の資格審査は時間のかかる困難な作業となりました。内務大臣によれば、登録と資格の承認や否認、候補者の選挙運動、投票に関する選挙法が見直される、改正されるべきだということです。ラフマーニーファズリー内務大臣は、「新しい年、国会の選挙法の改革に向けて努力する」と語りました。
2月26日の選挙は、新たなイランの選挙の成功となりました。この選挙は完全に法的かつ健全に、安全が確保された中で実施されました。この選挙の成功は、一度に2つの重要な選挙を実施するうえでのイランの能力を示したものと見なすべきでしょう。この選挙で国民が票を投じたのは、経済の繁栄、生産の成長を訴えた候補者たちでした。国民の統一と連帯、外交関係における国家の問題解決に向けた意志も、国民の選択のもうひとつのメッセージでした。
2月26日の選挙で、国民は、政治、経済、社会問題の原因や根源を理解し、さまざまな問題を分類し、これらの問題の解決に向けた優先事項は、体制の維持であることを示しました。これはイラン国民の賢明さのあらわれです。イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、この選挙に際し、国民と体制責任者、この2つの選挙で選ばれる人々にメッセージを寄せ、国家の発展が根本的な目的だとし、「国民の栄誉と独立の否定、表面的な発展は受け入れられない」と強調しました。ハーメネイー師は、発展とは、世界の覇権主義者に取り込まれることを意味しないとし、「国民の栄誉とアイデンティティの維持は、あらゆる面での内部からの発展を伴っていなければ実現できない」と述べました。
2月26日の選挙は、核合意後、地域や国際の面で特別な状況にある中で実施されました。この選挙で、国民は、優先事項やさまざまな問題を正しく理解していることを示しました。この選挙での国民の共通のメッセージは、地域や世界におけるイラン国民の栄誉を伴う断固とした立場と抵抗、発展、成長の強調です。
イスラム革命の敵は、これまで何度も、イラン国民に、選挙に盛大に参加するのを断念させ、選挙の結果があらかじめ決まっているため、選挙は重要な出来事ではないように示そうとしてきました。これにより、民主主義の重要な柱の一つを損なわせようとしたのです。しかし、こうした努力は毎回失敗し、真の勝利者はイラン国民でした。今回の選挙でも、国民は自分たちの参加によって、新たな政治的英雄伝を築いたのです。