2月 14, 2017 16:36 Asia/Tokyo

今回はパリーシャーン湖とアルジャン平原の湿原をご紹介してまいりましょう。

イランの自然の見所の一つに、湿原があります。魅力的な自然を伴う美しい地域は、見る者の心を癒します。イランには2800もの湿原が存在します。このうち24の湿原が、湿地の保存に関するラムサール条約に登録されています。

 

 

24の国際湿原のうち、一部は複数の湿原が集まったものですが、一つの湿原として知られています。アルジャン・パリーシャーン保護区には二つの国際湿地が存在します。それではイラン南部ファールス州を訪れ、この二つの湿原をご案内することにいたしましょう。

アルジャン・パリーシャーン保護区は、5万ヘクタール以上の面積を有し、アルジャン平原、アルジャン湖、パリーシャーン国際湿地を含みます。アルジャン湖は、ファールス州の州都シーラーズから60キロ離れたところにあります。この湖の面積はおよそ2000ヘクタールでイランの淡水湖の一つです。この湖の中に、アルジャン湿原があります。

アルジャン・パリーシャーン保護区は、ザグロス山脈の南麓に位置しています。標高2900メートルの山の頂には雪が見えます。この地域では地域の主要な部分をカシの木が覆っています。また葦、アーモンドの木などの植物が見られる地域もあります。パリーシャーン湿原周辺の平原の最も標高が低い場所は、海抜800メートルになります。

アルジャン・パリーシャーン湿原の面積はおよそ6千ヘクタールで、同保護区の安全区域に指定されており、そこで農業や畜産業を行うことは禁じられています。1993年、この地域のおよそ100ヘクタールが絶滅危惧種のイランダマジカ20頭を保護するために囲われました。

アルジャン湖は、鳥類や水生動物などにとって重要な生息地の一つとなっています。かつてこの地域にはライオンが生息していたといわれています。山猫、オオカミ、キツネ、ジャッカルといった哺乳類もこの保護区で見られます。

アルジャン・パリーシャーン保護区の中に、パリーシャーン国際湿地があります。この湿原は淡水の湿原であり、カーゼルーンの南東12キロ、ザグロス山脈のふもとに位置しています。湿原の平均の深さは1.5メートル、最も深いところでは5メートルになります。

パリーシャーン湿原は、生物の多様性の点から非常に豊かな場所となっています。この湿原は冬季、多くの鳥類の生息地、繁殖地です。気温が下がると渡り鳥はシベリアやコーカサス、アゼルバイジャンからこの湖に渡ってきて、およそ4ヶ月、その周辺に滞在します。この湖には、200種類以上の鳥類が生息しており、珍しい貴重な種類の鳥も見られます。

 

パリーシャーン湿原は周辺の山から流れてきた水が溜まったものです。春や冬の洪水や、湿原の周辺の泉は、パリーシャーン湿原の水源となっています。

パリーシャーン湿原は、地域の地下水に影響を及ぼしていると言えるでしょう。湿原の水の増減は直接、地下水の量や質に影響しており、井戸の水の塩分濃度にも関わっています。

アルジャン・パリーシャーン保護区は、エコロジカルな価値に加えて、観光地とも見なされています。この保護区の一部には平原があり、アルジャンとパリーシャーンの二つの湿原の機能に直接影響を及ぼしています。この平原はイラン最大のカシの木の平原で、季節になると、ザグロスの森林の類まれな景観を提供してくれます。

湿原の南東部は冬季にスイセンの花が咲き乱れます。地域の東部にある高さ50メートルのアルジャン平原の滝は、山のふもとに美しさを与えています。これらの滝は遠くからでも見ることができます。この地域は夏は涼しく、冬は寒く降雪を伴います。

冬と春に咲くヒナゲシや水仙の花の存在、、数多くの滝、地域の湿原や平原に渡ってくる鳥の群れは見ごたえのある景観となっています。

この地域では史跡も見ることができます。洞窟の入り口の上部にある高さ7メートルのサーサーン朝時代のシャープールの像は、古代イランの時代から残る唯一の石像です。

この地域のこの他の史跡として、サファヴィー朝時代の石造りの隊商宿があります。