4月 04, 2018 16:40 Asia/Tokyo
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前回まで数回にわたり、片親のみの家庭や同性結婚による家族形態といった、家庭問題の一部、そしてこうした家族形態が人々や社会に及ぼす悪影響についてお話しました。 今夜は、健康的な家庭を危険に陥れる要因の一部についてお話することにいたしましょう。それではどうぞ、最後までご一緒ください。

共同生活は、常に夫婦にとっての将来の青写真を描くことによりスタートします。もっとも、夫婦がそれぞれ異なる環境で育ち、また互いについてよく知らないことから生じる夫婦のすれ違いにより、結婚後しばらくして問題が生じることが多くなっています。こうした問題にきちんと対処しなければ、家庭生活の基盤を危険に陥れることになります。

言うまでもなく、家庭の中心、即ち夫婦間、そして家族のメンバーの間に親密さや親近感がなければ、その弊害はまず家族全員の精神状態に及びます。このように魂のない冷え切った家庭の子供は、情緒面での不安定や動揺、緊張に苦しみ、彼らには行動や情緒面での問題が浮上する可能性が高まります。それは、夫婦と子供の運命が互いに強く結びついており、両親或いは子供の行動が、もう一方に影響を及ぼすからです。

家族の行動面での逸脱や精神的な健康の欠如は、社会にも影響を与えます。家庭と社会は、人々により結び付けられており、家庭でしつけられた人々が社会に出て行って、自らの家庭で獲得した健康的、或いは不健全な特質を社会に持ち込むことになります。この点から、社会の健全性はそこに存在する各家庭の健全性に左右されます。今日、家庭内暴力や麻薬中毒、離婚、家庭内別居といった弊害により、各家庭が危険に瀕しています。これらの現象による弊害を未然に防ぐために、その原因を突き止める必要があることは言うまでもありません。

離婚

 

家庭が受ける弊害を認識する重要性について語るには、社会に存在する人々のモラル、社会、情緒面での行動障害の多くの根源が、危機的な状態にある家庭に端を発していることに触れておく必要があります。このため、家庭が受ける被害について認識する目的は、結婚における失敗や家庭内の問題の発生につながる要因を突き止めること、そしてその予防策を提示することにあります。健康的な家庭を脅かす要因には、複数の事柄が考えられます。こうした事例の1つは、共同生活の原則に対する認識不足です。

人間の能力は、その人の知力の中に存在しています。結婚して幸せな共同生活を営むには、一連の知力を獲得する必要があり、それは他の全ての事柄と同様に、それぞれの事柄に関連した技能を身につけ、これを共同生活のプロセスにおいて活かさなければなりません。一部の家庭では、夫婦の互いに対する理解や結婚の目的への認識不足、不公平さや先入観、欺瞞行為、無責任さ、モラルの軽視、誤解、コミュニケーションの不足、夫または妻による一方的な支配、互いのあら捜しや仕返しなどにより、家庭の基盤が揺らいでいます。普通、このような家庭においては、家族のメンバーが互いに対して距離を置くようになり、感情にそった関係が薄れていきます。家庭内の関係が冷却化すると、家族関係が途切れることになります。このことは、専門家の間では家庭内離婚と呼ばれています。

離婚

 

家庭内離婚や家庭内別居という事態が発生した場合、夫婦は物理的には一緒にいるものの、心理的には離れていることになります。家庭内離婚においては、夫婦の精神面での関係の弱さからスキンシップや情緒面、会話面を初めとする夫婦関係が全面的に冷えきったものになります。このような家庭の夫婦は、互いに相手の世界において自分の居場所を見失い、実質上配偶者は単なる名目上の同居人でしかなくなります。こうした夫婦は、互いに相手に対し身体的、精神的な距離をおいていることから、自分の領分を守るための明白な境界線をしき、相手のいないところで相手の陰口を言うようになります。家庭内離婚の状態が長期間にわたって続くと、正式な離婚に発展します。もっとも、家庭内離婚という状態は、当事者である夫婦のみならず子供にとっても耐え難いものである場合もあり、多少の犠牲を払っても正式に離婚するほうを選ぶことが多くなっています。

家庭内離婚に至る原因の一部は、結婚前の段階において探求でき、それは妻と夫が結婚に求めるもののレベルに起因します。人間は誰でも、正当であれ誤りであれ、自分の理想の配偶者のイメージを持っています。こうした期待や信条が正しい認識によらず、現実の生活からかけ離れたものであれば、トラブルを引き起こすことになります。そのほかの原因は、適切な配偶者はどのような特質を持っているべきか、ということに関する社会的に正しい認識の有無を問いただすことで探求する必要があります。しかし、一部の人々はこうした事柄を軽視してしまっています。それは例えば、自分の家庭から逃げ出すために駆け落ちすることなどであり、この場合には配偶者選びに当たって不当な要求を提示することになります。

さらに、もう1つの原因として、結婚前に相手を認識する上で正しいプロセスを経ることなく、理解不足のまま1つの選択肢を選んでしまったことが挙げられます。結婚適齢期にある男女の多くが、この段階において相手に対する同情心や遠慮にかられてしまいますが、その結果はその後の共同生活において受けることになります。さらに、家庭内離婚に至る原因には、互いに対する夫婦の共同の経験に関係しています。私たちは、共同生活や配偶者に対して描く自分のイメージをもって、1つ屋根の下での生活を開始します。しかし、いざ共同生活が始まってみると、それが自分の思い通りの物でなかったり、或いは小さな感情のもつれから結婚生活が崩壊したり、自分という枠組みを自分たちという枠組みに転換できなくなる可能性があります。

 

家庭内のトラブルは、どのようなものであれ取り返しのつかない結果をもたらします。中でも、そうしたトラブルの引き金となるのは、内的あるいは外的な要因であり、その一部は個人に、そのほかは社会に関係しています。自分だけの思い込みに捉われている人は、様々な形で配偶者に対する暴力行為に走ります。また、人格障害や精神疾患を抱えた人も、すぐにキレやすくなって妻や子供に身体的、精神的な暴力を振るう可能性があります。

さらに、失業していたり、中毒症状のある人も問題を引き起こします。例えば、中毒症状のある人は、配偶者や子供に悪態をついたり、何かとあら捜しをしたりしますが、これは家族のほかのメンバーにとって非常に耐え難いものです。こうした人々は、家庭環境を病的なものにしますが、このことも家庭内離婚の引き金となりえます。

しかし、家庭内離婚を防ぐには、そのための夫婦の役割や、家庭内離婚による結果、そしてそれが子供にもたらす悪影響について知ることが重要です。