4月 04, 2018 16:49 Asia/Tokyo
  • 麻薬中毒が家庭に及ぼす影響
    麻薬中毒が家庭に及ぼす影響

これまでお届けしてまいりましたこの番組も、今夜で最終回を迎えることとなりました。 最終回の今夜は、麻薬中毒が家庭に及ぼす影響について考え、麻薬中毒に陥っている人に家庭はどう対処すべきかについてみていくことにいたしましょう。

麻薬中毒は、現代社会に蔓延している弊害の1つです。毎年、世界では多くの人々が麻薬中毒に陥っています。ある著名な毒性学者は次のように述べています。「食物を例外とすれば、麻薬ほど諸国民の生活に深く入り込んでいる物質は存在しない」

2015年6月の国連の発表によりますと、現時点で全世界に2億4600万人の麻薬中毒者が存在しており、このうち2700万人は重度の中毒状態にあるということです。また、国連のパン事務総長によれば、残念ながら世界の麻薬中毒者の3人に1人が女性となっています。

専門家の見解では、好奇心や快感を得ること、痛み止め、困難の忘却、冗談、興奮やスリル、大人になった気分を味わうことへの欲求、特定のグループへの所属といった事柄は、それほど重要ではないように見えるものの、実際には数百万人もの人々が麻薬中毒に陥る最も重要な原因であると考えられています。麻薬中毒は社会問題として、人々の社会的な地位や成功を脅かすとともに、そうした人々は利己主義的、人格が不安定だとされてしまいます。麻薬中毒は、家族としてのまとまりを破壊し、家庭や社会の収入を減らしてしまいます。

麻薬中毒に陥る原因を調べた結果、研究者はこれに関して家庭が重要な要因となっていると結論付けています。家庭は、人格的な成長を遂げ、行動規範を身につける第一の場とされています。親の認識不足や子供との関係の弱さにより、子供が麻薬の悪用などの犯罪に走る環境が整ってしまいます。

 

専門家の見解では、青少年が麻薬に好奇心を抱き、その使用に走る主な原因の1つは、実際に麻薬の悪影響を知る前に家庭内で麻薬の存在を知った、或いは家庭内で誰かが麻薬を使用しているところをみたことだとされています。家庭に麻薬が存在することで、あらゆる口実によりこれを使用しようとして、ひとたびその条件が整うとすぐに、麻薬を体験するのです。

家庭での躾や管理が緩いことも、麻薬の悪用に陥る原因の1つとされています。両親、或いはそのいずれかの仕事が多く、麻薬中毒につながる子供の行動に気づかないことも、麻薬の使用を軽く考え、間接的に認めてしまう親の人格上の弱点とされています。こうした家庭では、両親のいずれかが親としての義務を適切な形で果たさない場合、子供に自由を与えざるを得なくなります。しかし、親たちはそうした自由を与えることが、子供を危険な行動へと走らせる条件を作ってしまうことには気づいていないのです。

麻薬中毒が家庭に及ぼす影響

 

一方で、厳しすぎる家庭も、若者が麻薬に手を出す原因となります。親子間の考え方の対立、親が子供の正当な要求に注目しないこと、子供を侮辱すること、親が子供にきつく当たったりすることなども、そうした原因に含まれます。厳しすぎる家庭の子供は、自分の意見を述べることが許されず、成長期の段階全体を通して、自信を奪われ、決断力のなさにより些細な困難すら乗り越えられず、麻薬に手を出す傾向があります。また、秩序のない家庭でも、宗教的な義務が履行されず、強い信仰心が欠如していることから、家族には一切の制限が課されず、麻薬に手を出す上で絶好の条件ができてしまうことになります。

このため、教育面での親の手腕は、子供が麻薬に手を出すのを防ぐ、最も重要な要素とされています。親は、しつけのスキルを向上することで、自信のある子供を育て、彼らに生活に必要な技能や、友人などからの麻薬への誘いをきっぱり断る勇気の大切さを教えることができるようになります。こうした措置は、親が自分の子供にとっての適切な見本となり、彼らに正しい行いや誠実さ、謙虚さ、プラスの性質の全ての見本を提示できるときに初めて効果を発揮します。逆に、親の言動が一致しない場合、子供に何かを期待することはできません。麻薬を使用する親が、自分の子供を正しい方向へ導くことができるとは、到底考えられません。

専門家の間では、麻薬中毒は事実上段階的なプロセスを持つ一種の病気であり、当初はほんの一時的な遊びから緩やかに本格的なものに移行し、最終的には常習的な行為へと発展すると考えられています。このため、麻薬に手を出し始める人々の多くは、間もなく中毒症状に陥ることになります。

多くの場合、麻薬を使用している人々は、自分の病状の進行に気づいておらず、気づいたときには既に手遅れという状態になっていることがほとんどです。彼らの家族も、本人の行動や精神的な状態に異変が生じてから、麻薬の使用に気づくのが普通です。このプロセスの始まりにおいては、家族のメンバーは大抵、現実と向き合いたくない、もしくは自分の心を強く持たせるために、この事実を小さな問題とみなし、この状態は段々に解消されて、本人も麻薬から手を引くだろうと考えています。しかし、本人が益々麻薬にのめり込むことで、麻薬の入手と使用は、生活上の重大な問題となるだけでなく、次第に家族との関わりをも避けるようになります。こうした状態の中、麻薬中毒に陥った当人と麻薬の関係は、その家族にとって現実味を帯びた問題となってくるのです。

麻薬の使用者の家族は、一部の変化がおきていることには気づいているかもしれません。しかし、総体的に見ると現在何が起こっているかを見極めることは出来ないのが現実です。彼らは、家庭がもはや安全な場所ではなく、そこには安全や安らぎに取って代わり緊張やストレス、陰険なムードが立ち込めていることに気づきます。そして、かつてはよく知っていた家族が、気性が荒く性格の悪い、疲れきった無能な人物に成り下がり、家族とのコミュニケーションをとる気もないことに気づきます。

麻薬中毒者の家族もそれぞれ、当人の人格や行動の激しい変化に反応せざるを得なくなります。こうした反応は、次第にその家族の行動や性質の一部となります。麻薬を使用していないほかの家族は大抵、自分や当人以外のメンバーのニーズを無視し、例えば家庭内で口論が起きないよう、麻薬使用者の行動に対して、正当化や、我慢することを余儀なくされます。多くの場合、家族は麻薬使用者に合わせることになります。彼らはまた、自分と家族の存続のために、その役目を受け入れてしまいますが、そうすることで現実に、麻薬使用者の病的な行動の継続を助長していることには気づいていないのです。

これによって、通常、以前の家庭内の決まりごとは効力を失い、次第に新しい決まりごとがそれに代わります。家族は全員、それに従わざるを得ません。この新しい決まりごとは、実際には家庭の基盤を維持するために現実的な効力を持っていますが、多くの場合、家庭の安らぎや幸福のためには有害です。例えば、新しい決まりごとにより、麻薬使用者の配偶者は、すべての家事や、パートナーが放棄した責務を1人で背負わなければならなくなります。

 

両親が麻薬中毒に陥っている家庭では、時にはこうした責務が年長の子供に降りかかってきます。こうした変化により、生活は一変し、家族にとって苦痛なものとなりますが、最終的にそれは家族に課される不文律の1つとなってしまいます。こうした不文律は、家庭における麻薬中毒の結果の1つであり、結果的に彼らの生活は立ち行かなくなり、崩壊して、家族全員の安らぎを損ないます。

 

 

 

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