4月 12, 2018 19:01 Asia/Tokyo
  • 「パシュミナの土地と人々」写真展
    「パシュミナの土地と人々」写真展

この数日、テヘランの美術館や博物館では、さまざまなイベントが開催されています。

イランの首都、テヘランを訪れたり、テヘランについてのニュースを耳にしたり、読んだりしたことのある人は、この町が大都市であり、交通渋滞の問題を抱えていることをご存知かもしれません。テヘランは、大気汚染に悩まされながらも、雨や雪が降れば、たちまち、美しい山の景色が広がり、愛すべき町に変わります。

テヘラン

 

テヘランには、昔の建物が残っています。ここで、IRIB通信のリポートをお聞きください。

 

「テヘランの門、ゲートとは、背の高い頑丈な建物やその周辺の町の空間のことを指し、かつて、テヘランの町の塔や壁の部分に建設されていた。これらの建物の建設は、サファヴィー朝時代から5つの門によって行われ、ガージャール朝まで続いた。現在、昔から残っている唯一の門は、国立公園の門であり、マフムーディーエの門とテヘランの軍需工場の一部である。テヘランの12の門は、1930年、都市の近代化を理由に破壊された」

 

昔のテヘランのホラーサーン門

 

「昔のテヘランの門」に関する歴史的な写真展は、2年に及ぶ図書館の研究の成果で、キヤーヌーシュ・モオタゲディ氏によって収集されました。モオタゲディ氏は、イラン・イスラム芸術の研究者で、ガージャール朝時代のイランの碑文や建築、建築装飾に関する複数の書籍を記しています。

 

この写真展には、首都の重要な象徴のひとつであった、テヘランの古い門に関する40枚以上の写真が展示されています。これらの写真の中には、テヘランの町中にあった門も紹介されており、それらを見ると、ガージャール朝時代の建築やその装飾の変遷について知ることができます。これらの写真は、ガージャール朝時代にイランや海外の写真家によって撮影されました。この写真展は、4月半ばまで、テヘランの写真博物館で開催されています。

 

「昔のテヘランの門」に関する歴史的な写真展

 

テヘランにあるサバー・ギャラリーでは、東洋の歴史と文明の地であるインド亜大陸の自然や知恵、神話や伝説に関する、イランの若い芸術家の展示会が開催されています。この展示会の開会式には、インド公使、ダゲスタン共和国大使、ロシア公使、ベネズエラ領事、ベラルーシ大使が出席しました。

 

インド亜大陸絵画展に出席した、ベラルーシ大使、ベネズエラ領事、ロシア公使、ダゲスタン共和国大使、インド公使

 

「インド亜大陸」絵画展は、イラン・インド友好協会の協力によって開催され、レイラー・ラーズィー氏と彼女のもとで学ぶ人々の70点の作品が展示されています。

 

この絵画展の開会式で、イラン・インド友好協会のセイエダーン会長は、インドは、さまざまな宗教の博物館であり、驚異的な自然を持つ土地であるとし、歴史、文化、芸術に関する、イランとインドの古くからの関係に触れました。

 

インド公使もこの式典で、次のように語りました。「この絵画展は、イランとインドの人々の深い結びつきと、インドにおける生活や文化、アイデンティティのありのままの姿を示している。これらの絵画のテーマは、建築から、数千年の歴史を持つインドの国民的な祝祭など、多岐に渡っている」

 

テヘラン中心部にあるイラン芸術家の家では、「パシュミナの土地と人々」と題する、イタリアとイランの遊牧民をテーマにした、イタリア人写真家、マウロ・ヴィタリアの写真展が開催されています。この芸術家は、人物の彫像が最も好きで、イランを旅行した際には、イランではなく、この国の人々を見たと語っています。

 

マウロ・ヴィタリアの「パシュミナの土地と人々」写真展

 

マウロ・ヴィタリアの作品は、遊牧民の生活に関するものばかりです。彼はこれについて次のように語っています。

 

「イタリアでは、かつて移住を繰り返していた人々も、数年前から定住し始めている。しかし、彼らの感情は変わっていない。ヨーロッパ諸国はどこも同じような特徴を有しているが、イランでは異なっている。ガシュガイ族は、完全に異なる文化を有している」

 

ヴィタリアは、自分自身について次のように語っています。

 

「私は60歳で、各国の遊牧民の生活を追うようになって12年が経つ。今は、モロッコ、ルーマニア、インドの遊牧民を追っている」

 

この、「パシュミナの土地と人々」と名付けられた写真展では、羊の群れとの終わりのない旅や、遊牧民の文化的な共通性と生活の捉え方が映し出されています。マウロ・ヴィタリアは、このプロジェクトについて次のように語っています。

 

「遊牧民は、現在を生きることにより、時間という問題を逃れ、さまざまな制限から離れて生きている。移動の間、彼らは自分たちのニーズを満たすために環境を変えたりはせず、その環境に自分たちを合わせる。山のふもとに季節の変化によって生まれた牧草地で、動物たちの腹を満たす。夜、ガシュガイ族の黒いテントの外は、静寂に包まれているが、時折、野生動物の声によって、その静寂が破られる。私たちを守る毛布を風が揺らし、毎日、ニワトリの鳴き声で一日が始まる。そのニワトリの声に犬が呼応する。太陽が昇るとき、砂の大地に残るのは、黒いテントのみである。部族は、長期間残るようなものを作らない。彼らは、創造世界と調和した生活を選び、社会の変化や政治的な情勢からは遠ざかろうとしている。ガシュガイ族の子供たちは、常に移動を続けているため、寝たり起きたりを繰り返している。最近は、ラクダやロバに変わって、青い車が使われているが、遊牧民を永遠の旅へといざなっている」

 

「パシュミナの土地と人々」写真展

 

イラン暦の新年が近づく頃、テヘランのラージェヴァルド絵画館で、イラン装丁協会の芸術家の尽力により、ムラッカと呼ばれる絵画や書道などの画集が展示されました。この画集は、イラン暦の新年、ノウルーズをテーマにしたイランの偉大な詩人の詩などを含む20ページの作品です。

 

芸術家たちは、この展示会とともに、ノウルーズの神話研究とムラッカに関する専門会議を開催しました。この中では、イランの画家が、貴重なムラッカを紹介し、このテーマに関して専門家による研究会が行われました。

 

ムラッカとは、絵画や書道などの、さまざまな芸術を組み合わせた画集です。この画集は、開いたときに、すべてのページが見られるようになっています。つまり、アコーディオンのように開閉ができます。

 

 

ムラッカは、イランで、のちに現在のトルコやインド亜大陸で広まった芸術です。ムラッカは、本の装丁芸術とともに、書道や絵画などの芸術を示すものとなっています。

タグ