サッカーW杯イラン代表 (音声)
6月14日から1ヶ月に渡り、4年に一度のサッカーワールドカップ・ロシア大会が開催されます。
この時間は、サッカーワールドカップのイラン代表についてご紹介しましょう。
6月14日に開幕するワールドカップ、出場する各国が、次々に最終メンバーを発表しています。イランからも23人の選手が発表されました。
イランはワールドカップに出場するためのアジア最終予選で順調に勝利を重ね、あと2試合を残した時点で、開催国のロシアを除き、ブラジルに次ぐ2番目の国として本大会への出場を決めました。堅い守りと速攻を中心とした得点により、最終予選の10試合を無敗で終えました。また、最終戦で2失点を喫するまで、この予選では無失点を記録していました。
イランはこれまで、ワールドカップに4回出場しています。初出場は革命前の1978年の大会でした。その後、1998年、2006年、2014年に出場を果たしており、今回は2大会連続となります。これら4回の大会で、イラン代表がグループリーグを突破した経験はありません。今大会は初めてのグループリーグ突破を目指します。
イランの代表を率いるのは、ポルトガル人のカルロス・ケイロス監督です。ケイロス監督は、1996年にアーセナルに移籍したベンゲル監督の後任として、Jリーグの名古屋グランパスエイトの監督に就任したこともありました。その後、1999年に南アフリカの代表監督に就任し、日韓ワールドカップの際にはアフリカ予選を突破して本大会への出場権を獲得しましたが、大会直前に解任されたということです。
ケイロス監督が、イラン代表監督に就任したのは、2011年4月のことでした。それから2014年にはイラン代表をワールドカップ出場に導き、今回も2大会連続の出場を果たしています。イランはまた、FIFA国際サッカー連盟のランキングで、4年連続でアジア1位をキープしています。ケイロス監督が就任して以来、イラン代表チームは、確実に力をつけ、安定した強さを誇っています。
さて、ケイロス監督が選んだ、ワールドカップ本大会に臨むイランの選手たちについて簡単にご紹介しましょう。
イランのメフル通信によれば、アジア最終予選で失点の少なかったイランですが、ディフェンス陣が強いのかと思いきや、実は攻撃陣にタレントが揃っており、安定しているということです。現在イランのフォワードには、海外のチームでプレーする得点力の高い選手がそろっています。メフル通信は、このように伝えています。「ケイロス監督は、フォワードに誰を選ぶのか、いい意味で頭を抱えそうだ」
また、中盤の選手も攻撃的な布陣です。中盤を中心的に率いると見られる選手も、海外でプレーする選手となっています。メフル通信は、イラン代表を孔雀にたとえています。孔雀は美しい羽を持っていますが、その足は醜いもので、美しい羽に目を奪われ、醜い足は見落とされがちです。イラン代表はフォワード陣が孔雀の羽、ディフェンス陣は足であり、攻撃陣の華やかさの影で、ディフェンスの弱さがカバーされており、この弱点を克服しなければ、ワールドカップのグループリーグ突破は難しいだろうと言われています。
ケイロス監督が発表した最終メンバーには、海外のリーグでプレーする選手が15人も含まれています。中でも、ギリシャのリーグでプレーする選手が3人おり、一番多くなっています。ギリシャの他、イラン代表の海外組は、オランダ、ベルギー、カタール、ロシア、スウェーデン、イングランドのクラブチームで活躍しています。
ここからは、イラン代表の注目の選手を何人かご紹介しましょう。
まずは、イラン代表のフォワード、ミッドフィルダー、ウインガーのアリーレザー・ジャハーンバフシュ選手です。ジャハーンバフシュ選手の背番号は18番です。彼は現在、オランダの1部リーグのAZアルクマールに所属しています。ジャハーンバフシュ選手は、ワールドカップを前に絶好調で、最近では、このオランダリーグで21ゴールを挙げ、今季の得点王に輝きました。これはアジア人初の快挙だそうです。以前には、セリエAのナポリが獲得を検討していることも噂されました。ジャハーンバフシュ選手は、前回のワールドカップの際にも途中出場し、プレー時間は短かったものの、思い切ったプレーで能力の片鱗を覗かせました。彼は1993年生まれ、現在は24歳です。意表をつくパスを仕掛け、自身でもゴールを狙うことができます。
続いてご紹介するのは、フォワードのサルダール・アーズムーン選手です。サルダール選手は2014年に代表デビューを果たして以来、イラン代表にとって重要な数多くのゴールを挙げてきました。彼は2013年からロシアのプレミアリーグでプレーしており、現在はルビン・カザンに所属しています。アーズムーン選手は1995年生まれの23歳。スピードがあり、イランのメッシとも言われています。ユニフォームの番号は20番、代表の試合では、これまで31試合に出場して23ゴールを挙げています。ワールドカップの本戦での彼のゴールに期待が高まっています。
続いては、ディフェンダーのモルテザー・プールアリーギャンジー選手です。プールアリーギャンジー選手は、1992年生まれの26歳で、現在は、カタールのアルサッドに所属しています。アルサッドでは、スペインのシャビ選手の同僚です。ディフェンダーながら、カタールのリーグで月間MVPを獲得したこともあります。1対1やヘディングに強く、セットプレーからのヘディングシュートも期待できます。ユニフォームの番号は8番、ゴールキーパーの前を守ります。
もう一人、ディフェンダーのミーラード・モハンマディ選手をご紹介しましょう。モハンマディ選手は、先ほどご紹介したプールアリーギャンジー選手と共に、イランの最終ラインを守っています。ワールドカップ・アジア最終予選では、韓国との試合が終わった後、韓国にほとんど何もさせなかったこの2人のディフェンダーが、抱き合って勝利を喜んでいたのが印象的でした。モハンマディ選手も1対1に強く、以前、イランのサッカー中継では、日本の長友選手と比較されていました。モハンマディ選手は、1993年生まれの24歳で、海外のリーグでプレーしています。
今回、ワールドカップ・ロシア大会に出場するイラン代表チームのさまざまなデータが発表されました。まず、平均年齢は、25.5歳です。最年長の選手は34歳でディフェンダーです。最年少は21歳でミッドフィルダーです。また、平均身長は、183.7センチです。代表選手の中で最も身長が高いのはゴールキーパーのベイラーンヴァンド選手で、195センチです。最も身長が低いのは、さきほどご紹介したモハンマディ選手で、174センチということでした。
イラン代表は、前回の2014年ブラジル大会で、アルゼンチン、ナイジェリア、ボスニア・ヘルツェゴビナと同じグループに入り、アルゼンチン戦では、あわや引き分けと善戦しましたが、結果は1分け2敗でグループリーグで敗退してしまいました。
今回のワールドカップでは、イランは、スペイン、ポルトガル、モロッコと同じグループに入りました。イランのワールドカップ初戦は、開幕の翌日、6月15日に行われ、対戦相手はモロッコです。第2戦は6月20日のスペイン戦、そして第3戦は、6月25日、相手はポルトガルです。ケイロス監督の母国でもあります。イランは2006年のワールドカップでも、ポルトガルと同じ組に入りました。
さて、スペインとポルトガル、という2つの強豪国と同じグループに入ったイランですが、日本代表と共に、イランの代表も、ぜひ、応援してください。