パキスタン前首相が政府に最後通告、6日以内の総選挙実施を要求
議会の不信任決議で失職したパキスタンのカーン前首相は26日、新たな総選挙実施を6日以内に発表するよう政府に最後通告しました。
ロイター通信が26日木曜、パキスタン首都イスラマバードから報じたところによりますと、同国ハイバル・パフトゥンハー州ペシャワールから首都イスラマバードに向けた、カーン氏の呼びかけによるデモ行進は25日水曜から始まりました。
このデモは、治安部隊が阻止しようとしたものの26日木曜朝にはパキスタン国民議会付近に入っています。
IRIB通信がパキスタンの複数のメディアの報道として報じたところによりますと、数千人の支持者とともにイスラマバードに到着したカーン氏は、トラックの上で「6日間の猶予を与える。6日以内に選挙を発表すべきだ」と訴え、6月に議会を解散するよう求めました。
また、「野党PTIパキスタン正義運動の占拠は終了した」とした上で、6日以内に政府から総選挙の実施時期が発表されない場合には、再度200万人の市民とともにイスラマバードに戻ると表明しています。
カーン氏は失職後も何度か集会を開き、政権の座を追われたのは米国の陰謀だとの主張を繰り返しています。
複数の報道によりますと、PTIの座り込み・占拠の終了が発表されたにもかかわらず、カーン氏の支持者は、バリケードの撤去により、政府系庁舎や外国大使館が位置するイスラマバードのレッドゾーンに入ったと伝えられています。
一方、パキスタン政府は、イスラマバードのレッドゾーンを保護するためにパキスタン軍に支援を求めており、同軍がこの地域に派遣されています。
パキスタンの報道各社によりますと、過去20時間にパキスタン各地で治安部隊とPTI支持者が衝突し、少なくとも5人が死亡し、数十人が負傷しました。
ここで留意すべき点はPTI前政権が、イムラン・カーン前首相に対する不信任決議により4月に総辞職・退陣したことです。
しかし、PTIはこの退陣劇を外国の介入や米国の陰謀によるものと考えています。
カーン前首相は、去る4月10日に議会で総数342票のうち174票で可決された不信任案により解任されましたが、この決定に執拗に抗議し、あらゆる機会を利用して彼の後任者シャフバズ・シャリフ氏に対して行動を起こしています。
ロシアとウクライナに対するイムラン・カーン氏の立場は、アメリカの意志に反するものでした。
米国務省のある高官はカーン氏を解任に追い込むとして脅迫しており、カーン氏は自らの解任を、こうした脅迫を実施するための野党とアメリカの間の協力に関係があるとしています。