国連関係者が中国に対ウイグル族政策の見直しを要求、米英は政治化を画策
国連のバチェレ人権高等弁務官が、中国政府がテロ対策として少数民族のウイグル族などに行っている政策について懸念を提起し、中国側に政策の見直しを求めました。
ロシア・スプートニク通信によりますと、人権状況をめぐって懸念が示されている中国の新疆ウイグル自治区を視察するため、現地を訪れていた国連のバチェレ人権高等弁務官は視察最終日の28日土曜、中国新疆ウイグル自治区の視察を終えた後、南部・広州からオンラインで記者会見に応じました。
この中で、バチェレ氏は6日間の中国滞在中の2日間、新疆ウイグル自治区を訪れ、中国側が職業訓練用に使っていたとする施設や刑務所を訪問したことを明らかにしています。
そして、中国政府がテロ対策としてきた政策について「人権に与える影響に懸念を提起した」と述べ、恣意的な人権基準を設定しないよう要求しました。
また、中国国外に住むウイグル族の人たちから「家族と連絡が取れない」という訴えが相次いでいる問題について、「詳細に踏み込むことは困難だった」と述べる一方、「こうした家族に関する情報を最優先で提供するよう当局に訴えた」と語っています。
なおバチェレ氏は今回の訪問について、調査目的ではないとし、ウイグル族の人権状況を詳細に把握するのは困難だったと指摘しました。
一方、バチェレ高等弁務官の今回の中国訪問について、米国のアントニー・ブリンケン国務長官は声明を表し、「中国はこの訪問で人権状況を操作しようとしており、バチェレ氏の訪中に合わせて作られた条件は、人権状況に完全な評価を行うのを可能にするものではなかった」と述べました。
また、「米国はミシェル・バチェレ人権高等弁務官が中国を訪問したこと、また中国がその訪問を制限することで、状況を操作しようとしていることに依然、懸念を感じている」としています。
この声明によりますと、アメリカは「バチェレ氏の訪問中に中国政府が提示した条件は、新疆ウイグル自治区をはじめとした中国における人権状況を完全で独立した評価を下すことを不可能にするものだった」と表明しています。
アメリカはとりわけ、新疆ウイグル地区では住民に対し事前に、「不満を口にしたり、地域の状況について正直に話さないよう」警告されたとの報道があったとして懸念を示しています。
バチェレ氏は今月23日から6日間の日程で中国を訪れており、この中で新疆ウイグル自治区を訪問しました。
アメリカとイギリスはバチェレ氏の中国訪問に関して、人権状況を完全に把握するために必要なアクセスが認められない、とする組織的な批判により、この訪問の政治化をもくろんでいます。
これに対し、中国も米英を人権侵害のかどで批判しています。