6月 16, 2016 22:06 Asia/Tokyo
  • アメリカの凍結資産を巡る国際司法裁判所へのイランの提訴

アメリカによる、イラン中央銀行の一部資産の押収について、イランが正式に国際司法裁判所に提訴しました。

アミーンザーデ解説員

イランのローハーニー大統領は、15日水曜、このことを明らかにすると共に、「イラン政府はさらに、このアメリカによるイランへの敵対行動が非難され、イランに損害賠償が支払われることを要求する」と語りました。

 

アメリカ最高裁判所は、4月20日、法的な決定を名目にした敵対行動の中で、アメリカ・ニューヨークにあるイラン中央銀行の資産20億ドル近くを押収する判決を下しました。この判決では、アメリカ国外で行われてきた様々なテロにイランが関与したとし、イランに対して損害賠償の支払いを命じています。原告側は、イランがレバノンのシーア派組織ヒズボッラーを支持していると非難し、ヒズボッラーは、1983年にレバノンのベイルートで発生し、アメリカ兵241人が死亡した爆弾事件に関与したと主張しています。原告はさらに、1996年にサウジアラビアのアルホバルで起きた、アメリカ軍居住施設を標的としたテロなど、複数の攻撃の賠償金を求めています。この事件では、数人のアメリカ兵が死亡しました。ローハーニー大統領は、このアメリカの行動を、「明らかな窃盗行為」と呼んでいます。

先月、アメリカの最高裁判所によるイランの資産の押収【判決】を受け、イラン国会は、1953年のクーデター以来、アメリカがイランに対して行ってきた敵対行為や犯罪の損害賠償を請求することをイラン政府に義務付ける法案を可決しました。この法は、イランイラク戦争でアメリカによってもたらされた財政的、精神的な損害、ペルシャ湾でのイランの石油プラットフォームの破壊、イランに対する諜報活動などでイランが蒙った損害についても触れています。

イランとアメリカは、革命勝利前の1955年、友好経済関係および領事権利条約を締結していました。この条約は、国際法に基づき、現在も有効です。この条約は、1957年6月に発効され、そのときから、イランとアメリカの関係の法的な枠組みを定めてきました。この条約の第21項では、双方の提訴に対する国際司法裁判所の役割が明らかにされています。これによれば、双方の対立が、別の方法による解決で合意していない限り、国際司法裁判所に付託することができます。

イランイラク戦争当時、ペルシャ湾上空でイランの旅客機がアメリカの艦船のミサイルによって撃墜され、290人が死亡した事件では、イランはこの条約を根拠に、国際司法裁判所に提訴しました。2度目の提訴は、1992年11月のことです。この提訴は、1987年と88年にペルシャ湾のイランの石油パイプラインがアメリカによって攻撃された事件に対するものでした。そして今回が3度目の提訴となります。

イランとイランの国営機関は、アメリカの裁判所に対して治外法権を有しています。そのため、アメリカの司法機関による行動は、この治外法権への侵害と見なされ、法的な根拠に欠けている上に、政治的な目的を持った、国際的な取り決めへの違反です。このような状況の中で、国際司法裁判所への提訴は、法的な手段のひとつであり、イランが、国際機関を通じて、自らの権利を守る決意であることを示しています。こうした中、これまでの経験から、国際機関に多くの期待をもてないこともまた、事実です。

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