国連専門家、「米の制裁はイラン国民の権利を侵害」
国連の複数の上級専門家が、アメリカ政府の違法で一方的な対イラン制裁はイラン国民の権利侵害であるとの見解を示しました。
ファールス通信によりますと、複数名の国連上級専門家らは書簡の中で、「アメリカの各種制裁は、イランにおける環境破壊を助長するとともに、アフガニスタン移民・難民を含む同国の住民から、保健衛生・生活面での権利を完全に奪っている」としています。
国連のウェブサイトによりますと、この書簡には人権理事会の特別報告者アリーナ・ドゥハン(Alena Douhan)氏、 気候変動の文脈における人権の促進と保護に関する特別報告者イアン・フライ(Ian Fry)氏、国際秩序に関する独立専門家リビングストーン・セワンヤナ(Livingstone Sewanyana)氏、アフガニスタンでの人権状況に関する特別報告者リチャード・ベネット(Richard Bennett)氏らが名を連ねています。彼らはこの書簡において「多くの国と同様に、イランにも環境問題があるが、アメリカの制裁によりイラン政府は効果的に対処できず、課題が増大している」としています。
彼らは、「米国の制裁は、イラン国民に老朽化した車をより長期間にわたり使用することを余儀なくさせているうえ、車の排気ガス削減のための機器や技術へのイランのアクセスも不可能にしている」と述べています。
また、「対イラン制裁を実施しようとする米国の試みは、イランで事業を行う外国企業にとって処罰という脅威になっている」との見解も示しています。
さらに、米国の一方的な制裁により、イランで太陽光発電所の建設プロジェクトに携わっていた外国企業が同国から撤退したことを指摘しています。
これらの専門家らによりますと、制裁によりイラン人科学者は海外での共同環境研究プロジェクト参加の道を阻まれているほか、環境と持続可能性の問題に関するオンライン・データベースへのアクセスや研修への参加もできなくなっているということです。
書簡の中ではさらに、イラン国民がクリーンな環境を手に入れられるように、環境改善や健康・生命への悪影響軽減といった面でのイランの能力を阻害している制裁を緩和または完全撤廃する時が来ていることも、はっきりと示されました。