国連人権理事会、「米の対イラン制裁は違法」
国連人権理事会が、アメリカによるイランの政府および国民に対する制裁やその他の国々へのその実施・適用を、国際法に違反するものだとしました。
アメリカ政府の制裁はこの数年、イランの医療および治療医薬品の分野にこれまでにない影響をもたらしています。
国連の特別報告者であるアリーナ・ドゥハン(Alena Douhan)氏およびとオビオラ・オカフォール(Obiora C. Okafor)氏は、アメリカの一方的な対イラン制裁が同国の遺伝性血液疾患・サラセミアの患者に与えている影響について声明を発表し、「サラセミア患者が必要とする薬は、スイスの製薬会社・ノバルティスが生産しており、フランスの会社を通じて輸入されているが、現在は制裁のためにイランに届いていない」としました。
続けて、「医薬品取引の許可が出されてからも、製薬業者、輸送業者、保険業者、もしくは銀行はそれぞれに、アメリカの敵対的制裁や同国からの処分を恐れてイランとの取引を避けている。このことは、サラセミア患者らの恐怖や痛み、さらに早すぎる死亡へとつながっている」と指摘しました。
そして、アメリカ政府に対して、医療目的の送金に対するあらゆる障害や制限を撤廃し、人道的免除を適用して、イランへの医薬品輸出には二次制裁を課さないよう求めました。
一方、制裁の影響についてはイラン赤新月社のピールホセイン・クーリーヴァンド総裁も先日、レバノン・ベイルートで開かれたIFRC-MENA国際赤十字・赤新月社連盟西アジア・北アフリカ地域事務所による総裁会議において、「圧政的な制裁は赤新月社の人道的活動に影響を与え、国内および国際レベルでの最適かつ効果的な職務遂行を妨げている」と述べています。
対イラン制裁の解除を目指す協議は、昨年8月4日にオーストリア・ウィーンで開かれましたが、同月8日各代表団の本国帰国とともに終了しました。