3月 05, 2023 21:32 Asia/Tokyo
  • IAEA国際原子力機関のグロッシ事務局長
    IAEA国際原子力機関のグロッシ事務局長

IAEA国際原子力機関のグロッシ事務局長が4日土曜夜、イランから戻った際にオーストリア・ウィーン空港にて、「我々は、IAEAへの情報提供や立ち入り・アクセスの許可をめぐりイランと合意した。と語りました。グロッシ氏によれば、イラン側との技術会議が間もなく開催され、同国内では間もなく監視装置が設置され稼動開始となる見通しです。

グロッシ事務局長はまた、「少なくともイラン政府との協議に関しては、重要な進展が記録されたと信じている。私の話に耳を傾けてもらえたと思う。近く成果が見られるよう希望している。今後の状況を見守る必要がある」と語りました。

グロッシ氏は今月3日正午に代表団を率いてテヘラン入りし、2回にわたりエスラーミー・イラン原子力庁長官と協議し、それから共同記者会見に臨みました。

グロッシ事務局長はさらに、イランのアミールアブドッラーヒヤーン外相およびライースィー大統領とも会談しました。グロッシ氏との会談で、イラン外相は、保障措置の問題を可能な限り短期間で技術的に解決する、というイランの真剣な意志に言及し、またグロッシ氏も、IAEAとして技術的手段を通じた問題解決の準備ができていることを強調しました。

イランのジャムシーディー副大統領はツイッターで、「グロッシ氏はイラン大統領との会談で、協力の円滑化に向けた措置に関するIAEAとの共同ルート設定に満足を表明した。また、ライースィー大統領も、協力は双方が取り組むべき課題であり、IAEAの独立性の維持および、イラン国民の権利回復に基づいて継続されうる」としています。

グロッシ氏の前向きなイラン訪問および、IAEAとの対話や両者間の問題解決を目指すイランの積極的かつ建設的なアプローチは、一方では核計画の透明化に向けたイランの善意の兆候であり、さらにはイランの平和的核計画に対する、特にアメリカと英独仏3カ国をはじめとした西側諸国の敵対的は主張やプロパガンダの無効化への足がかりと見なされています。

2日間にわたるグロッシ氏のテヘラン訪問および、イラン政府高官との会談の終了に際して、イラン原子力庁とIAEAは共同声明を発表しました。この声明で述べられている最も重要な点の 1 つは、IAEAとイランとの間のやり取りが、協力の精神の下で、IAEAの義務やイランの権利と義務の完全な遵守に基づき、包括的保障措置協定にそって実施されるということです。

また、国内3か所に関連する残りの保障措置問題に関して、イランは協力を継続し、これらの残りの問題に対処すべく、より多くの情報開示とアクセス・立ち入りを許可する用意があるほか、必要に応じた、より多くの検証・監視・査察活動を許可することが明記されています。その実施方法については、テヘランで近く開催される技術会議にて両当事者の間で合意される予定です。

IAEAとの建設的な相互協力に向けたイランの重要かつ積極的な一歩は、最近イラン国内の遠心分離機の一部における84%濃度のウラン粒子発見をめぐる喧騒を起こし、イランが核兵器の製造に向かっていると主張する、西側諸国の心理的戦争やプロパガンダをかなり無効化する可能性があります。

イランは常に自らの核計画の透明性を強調する一方で、ウラン濃縮濃度の引き上げや核施設への新たな遠心分離機の設置など、核合意の下での責務履行の縮小に向けた一部措置をも講じています。 しかも、こうした措置は2018年5月の米国の核合意離脱およひ、最大の圧力キャンペーンという枠組みによるアメリカの一方的な制裁、そして英独仏の約束不履行の悪影響を軽減するための対抗措置として講じられたもので、それも米国と欧州3カ国の違反行為が確認されてから1年待った後のことです。

一方でイラン政府は、IAEAから発表された、想定内の疑惑点の明白化を常に強調してきました。その象徴となるのが、テヘラン訪問から戻った後の、この分野でのグロッシ氏の前向きな立場表明なのです。

 


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