イラン大統領「世界の米国化計画は失敗」
イランのライースィー大統領が、米ニューヨークで開催中の国連総会において「世界は後戻りの効かない新興体制への過渡期にあり、世界をアメリカナイズする計画は失敗した」と語りました。
ライースィー大統領は現地時間の19日火曜夜、ニューヨークの国連本部で行われた第78回国連総会で「世界の模範になろうとしていた自由民主主義は反面教師と化し、終焉に近づいている」と述べました。
そして、「世界は変化の最中にあり、新たな国際体制へと移行中である。この道は後戻りできない。西側による世界支配という方程式はもはや回答ではなくなり、飽くなき覇権主義者と資本家の利益にかなう旧来のリベラルな秩序は脇に押しやられた」とし、「世界をアメリカナイズする計画は失敗に終わった」としました。
故ソレイマーニー司令官の殉教・テロ暗殺はISISへの報酬
ライースィー大統領はまた、「(2020年1月に起きたイラン革命防衛隊の)ソレイマーニー司令官の暗殺・殉教は、アメリカ自身が生み出したテロ組織ISISへの報酬だった。そして、2500万人もの群衆が集まった同司令官の葬儀や、この犯罪行為の実行犯と加害者に対する8500万人のイラン国民の悲しみ、怒り、復讐心さえも検閲された」と語りました。
加えて、「対イラン核合意からのアメリカの離脱は、協定への忠誠という原則への公然とした違反である」と述べ、「アメリカ政府は、国連安保理決議2231への明らかな違反により、核合意に基づく義務の履行を回避している。この行動により、アメリカはその主張に反して、実際には協力ではなく法律の回避や過剰な要求の押し付けを許可したことになる」と語りました。
核兵器はイランの防衛政策上の位置づけなし
ライースィー大統領はまた、「イランの防衛政策に核兵器は存在せず、関連する国際機関や西側情報機関の報告さえも、これが真実であることを繰り返し証明してきた」と述べました。
また、「我が国は核技術の利用という自国の権利を否定するつもりはなく、今や米国こそが自らの決断力のなさを克服し、正しい道を選択する時が到来している」としました。
西側の人権状況に対する批判
ライースィ―大統領は加えて、特に西側における女性の権利をはじめとした人権状況を批判し、「子供を持つ女性を収監する世界最大の刑務所を抱えるアメリカは、女性の権利を真剣に懸念できるだろうか? イランに関する重要な事実は世界中で検閲されている。一方で、一部のヨーロッパ諸国がイラクの旧独裁者サッダームにその爆弾を提供し、イラン国民に甚大な被害を与えた化学爆撃についてはこれまで何も語られてこなかった。しかし、当時イランから世界に向けて放送された映像は、正しい情報がフィルタリングされ、誤った情報が拡散された結果によるものだ」としました。
そして、「我々の未来への展望は希望に満ちており、正義が世界に浸透するだろう」と強調し、「占領、テロリズム、過激主義は最も重要かつ深刻な脅威の一つであり、テロリストの撲滅は、その主な要因に対する包括的で的を絞った根本的な戦いと、世界中のテロリストに対する総合的な処罰にかかっている。世界で唯一のアパルトヘイトに基づく政府(=シオニスト政権イスラエル)が平和のパートナーになることはできない」と述べました。
好戦主義への非難
ライースィー大統領は好戦主義を非難するとともに、「コーカサスからペルシャ湾に至るまでの地域外の外国軍の存在は解決策ではないのみならず、問題でもある」とし、「我々は、欧州での戦争がいずれの欧州諸国の利益にもならないと考えており、米国がウクライナ戦争での停戦計画を拒否したことは、アメリカが欧州を弱体化させる長期計画を持っていることを示していると考えている」と語りました。
そして最後に「我が国は、戦争の終結と政治プロセスの開始に向けたあらゆる取り組みを支持し、建設的な役割を果たす用意があると宣言する」と強調しました。