May 11, 2024 14:33 Asia/Tokyo
  • イラン・パキスタン・インドを結ぶガスパイプライン計画:平和を求めるイラン、緊張を求めるアメリカ

イランからパキスタン・インド両国を結ぶ天然ガスパイプライン計画「ソルフ」(平和)は、パイプラインを通じて印パ両国の平和を促進することを目的としています。

先月下旬にイランのライースィー大統領がパキスタンを訪問したことで、このソルフ・パイプライン計画の実現可否が再び取り沙汰されるようになりました。この計画が最初に持ち上がったのは1990年代からで、イラン、パキスタン、インドのほかにアラブ首長国連邦なども参画していました。

これらの国々で交わされた合意書で、イランはむこう25年で自国の天然ガスをインド・パキスタン両国に、合意価格のもと供給することが明記されました。

その後、トルクメニスタンやカタールも計画に参加することが決まりましたが、アメリカの妨害工作により計画は実現しないままとなっていました。

この計画が「ソルフ」(平和)と名付けられた理由は、パイプラインを通じてインド・パキスタン両国の平和を促進することを目的としていたからでした。当時、印パ両国はカシミール問題などで緊張が高まっていました。

 

ソルフ・ガスパイプライン

 

両国の緊張関係は、国境紛争や核保有にまで発展します。

イランは、このガスパイプライン計画の実現が平和の拡大につながると考えています。一部には、インドがアメリカの圧力によりこの計画から離脱したことを理由に、もはや「平和」と名付ける必要はないとの意見もあります。

アラブ首長国連邦は、この計画に10億ドルを初期投資することを約束しました。インドの離脱後、計画は凍結状態に陥りますが、それでもイランは当初の意志を変えることなく、パイプラインをパキスタンとの国境付近まで敷設しました。

パキスタンも国外の要因に左右されることなく、この計画実現にむけて役割を果たすことができます。ソルフ・ガスパイプライン計画はすべての当事者が利益を得る、ウィン・ウィンにもとづくものです。

パキスタンがこの計画の実現に取り掛かれば、インド、アラブ首長国連邦、カタール、トルクメニスタンも後に続く契機となり得ます。

 


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