イラン最高指導者「イスラム共同体のアイデンティティ保持は必須」
イラン・イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、イラン国内のスンニ派指導者や神学校関係者らとの面会で、イスラム共同体(ウンマ)について「片時も忘れられるべきではない」と述べ、そのアイデンティティの保持の必要性を説き、シーア派とスンニ派の分断を狙う悪意ある勢力に対抗して両派が団結することを強調しました。
【ParsTodayイラン】イランでは16日からシーア派とスンニ派の団結を謳う「団結週間」が始まりました。これは、預言者ムハンマドの生誕日がスンニ派とシーア派の伝承で異なることにちなみ、両派が様々な信仰上の違いを越えて預言者ムハンマドという共通した人物のもとに団結しようという理念を掲げたものです。今年の団結週間は、スンニ派伝承によるムハンマドの生誕日である16日からシーア派伝承による21日までです。
団結週間初日の16日、ハーメネイー師はイラン国内のスンニ派指導者らと面会し、「イスラム共同体というアイデンティティは、国民というアイデンティティよりも上位にある。地理的な国境という区切りはイスラム共同体というアイデンティティを変えることはできない」と述べました。
また、そのイスラム共同体というアイデンティティを忘れさせようとする敵の陰謀に触れ、「こうした動きは、ムスリムを名乗る者はガザなどの世界各地のムスリムが抱える苦しみに無関心であってはならないというイスラムの教えに反する」と述べました。
ハーメネイー師はその上で、スンニ派指導者らの存在が「イスラム的アイデンティティやイスラム共同体の拠り所」であるとし、イスラム世界とりわけイランにおいて、悪意ある者たちによるシーア派とスンニ派の分断工作が行われてきたことに触れ、
「(そのような者たちは)思想・宣伝・経済的手段を用いてシーア派とスンニ派の分断を図り、双方が互いを侮辱するように仕向けている」
と語りました。その上で、そうした動きに対抗するのは団結であるとし、「団結とはただの方策ではなく、コーランに書かれた原則である」と述べました。
ハーメネイー師はまた、シーア派とスンニ派の団結を壊す試みが存在することに遺憾を表明しつつも、
「イランのスンニ派はこうした敵対行為に抵抗してきた。その証拠に、イラン・イラク戦争では1万5000人のスンニ派が殉教し、革命時にもスンニ派ウラマーが多数その命を捧げた」
としました。
そして、イスラム共同体という偉大な目標に到達するには、団結以外に手段はないとして、
「現在、ガザやパレスチナ市民への支援は明らかに信仰上の義務である。もしこれに背けば、必ず神にそのことを問われるであろう」
と述べました。
この日の面会には、イラン南東部のチャーバハールやゲシュム、北西部マハーバードなどからスンニ派指導者らが出席し、イランおよびハーメネイー師のシーア派とスンニ派の団結を重視する姿勢に謝意を示したほか、スンニ派地域の資源の活用や過激派・タクフィール主義への抵抗の必要性を強調しました。